明石のボート釣り師が思いを馳せる「イカナゴの釘煮」春の風物詩も漁獲量激減で風前の灯か

明石のボート釣り師が思いを馳せる「イカナゴの釘煮」春の風物詩も漁獲量激減で風前の灯か

播磨灘のイカナゴの稚魚の回遊は、乗っ込み期の魚が喰い、それを狙う釣り人が動き回る。口からあふれんばかりにマダイから越冬青物もガシラまでが喰うベイトだ。今シーズンの最初のキーとなる。主婦もイカナゴの釘煮を作るので、動き回る。みんなの活性が上がる春だ。ところが今年は、郷土料理の釘煮を作る良い香りのない明石の街だった。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター丸山明)

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丸山明

ゴムボートから始めたボート釣りも25年を過ぎ、もうover60です。釣りを極めたいです。

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春の恵み『イカナゴ』

毎年兵庫県播磨灘の各漁港からの二艘引き網船の漁で、イカナゴという春の恵みが播磨灘で水揚げされる。

漁は、イカナゴの新子と呼ばれる稚魚が狙いで、朝一番に網を引き、すぐに漁協を経由して販売される。スーパーでも多くを仕入れ、昼前には店頭に並ぶ。

キロ単位でおばちゃんからばあちゃんが勢いつけて買っていく。当然、キロ単位で何キロも買い、そして翌日にも再び買いに訪れる、播磨灘周辺沿岸地域の春のイベントだ。

明石のボート釣り師が思いを馳せる「イカナゴの釘煮」春の風物詩も漁獲量激減で風前の灯かイカナゴ(提供:TSURINEWSライター丸山明)

多くは「釘煮」になる

そして、これらのほとんどは「釘煮」と呼ばれる郷土料理になる。

醤油とザラメや水あめにみりんや生姜にいろいろなものが入り煮詰められると、4-5cmの稚魚は細く曲がって醤油色で、まるで古釘が錆びて山盛りになっているような雰囲気になるのが、この名前の由来だ。

冷蔵庫で保存が効き、正月にもそのまま食べられる代物で重宝する。熱々ごはんで食べるのが王道ではあるが、酒の肴まで合う万能だ。

水揚げ減少に懸念

この時期、沿岸地域の家々の台所からは、釘煮を作る良い香りが街に漂った。それぞれの秘伝があり、その味付けから生姜や胡桃に山椒と工夫があり、その自家製は味が違うのも郷土料理の奥深さだろう。

しかし、この10年以上前からどんどん水揚げが減少して、漁期間で調整をしているが、稚魚の網漁だから、いくら数が多い魚でも減少してしまうのだろう。その結果、今年は解禁日に終了してしまった。駿河湾の桜エビもたいへんな状況と聞いたが、無尽蔵と思っているようなイワシの稚魚シラスも、もうすぐにいなくなるかもしれない。

イカナゴの少ない今シーズン、釣果にも影響がなければと少し不安な釣り人だ。

<丸山明/TSURINEWSライター>