春の富山湾では、産卵で接岸したホタルイカを追う多彩なフィッシュイーターが釣り放題という一大イベントが発生する。ただし、このイベントは月齢などの条件に大きく左右され、ホタルイカの動きをルアーでうまく演出する必要もあってアングラーの対応力が問われる。今回、地元富山のエキスパートに聞いたホタルイカパターンの攻略術とともに、現地で話題になっている注目のルアーを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 五井)
目次
ホタルイカパターンで釣れる魚
シーバスや大型メバル、クロダイのほか、ビッグなアジやキジハタなど多くの魚が対象になる。初期の対象魚はメバルやシーバスで、暖かくなるほど魚種が増えていく。2~4月はメバルやシーバス、クロダイ、4月の終わりごろからキジハタやアジ、マゴチが加わる他、マダイがヒットすることもある。
接岸のタイミング
ホタルイカの接岸は2月中旬から始まり6月頭まで続くが、ピークは4~5月。新月付近の夜10時ごろから早朝にかけて接岸し産卵を行う。最盛期になると新月近辺以外でも散発的に接岸するが、シーズン前半は新月前後をタイトに狙う必要がある。
富山湾のフィールド
富山湾の新湊から入善にかけての海岸がフィールドになるが、港周りは釣り禁止の場所が増えており、サーフ(ゴロタ浜)での釣りが中心。
なお、シーバスをターゲットとする場合は、河川が絡んだ場所を狙うのがベター。
エキスパートに聞いた攻略法
ご当地の釣りは地元の名人に聞くのが一番。そこで、富山在住のエキスパートを訪ねた。応えてくれたのがアクアウェーブのフィールドテスター松任敦史さん。
メバルやアジ、クロダイなど様々なゲームを得意とする。以下、松任さん直伝の攻略術を紹介していく。
釣行日の選定
ホタルイカの大量接岸は新月の日に集中するが、必ずしもカレンダー通りとは限らない。松任さんは、新月の前後数日間を候補日に他の要件も考慮して釣行日を決めるという。
釣行するなら大量接岸のど真ん中よりも寄り始めぐらいがベストとのこと。大量接岸の最中や直後は、魚たちのルアーへの反応が鈍化する恐れがあるので避けたほうが良いそうだ。
月齢以外の条件とは
月齢以外に松任さんが意識しているのが風向き。学術的な裏付けはないが、同氏の経験によると日中に暖かい南風が吹いた夜にホタルイカの接岸があるという。
なお、表層を攻める釣りなので、弱い風が吹き海面が緩やかに波立つぐらいが好条件。ベタナギや海面が波打つような日は良くないという。
どのような場所で釣るのか?
松任さんは根の点在するゴロタ浜で、水深が1m台までのシャローを選ぶ。シャローを狙うのはレンジが絞りやすく、魚も浮きやすいからだ。こういった場所で沖に離岸テトラが入っていれば、潮通しが良く魚の通過点となるテトラ帯の切れ目やその周辺を探る。
なお、対象魚によっては時間帯を絞って回遊を待つこともあるが、基本はラン&ガンでテンポよく回るのが好釣果につながるとのこと。
名手のホタルイカ演出法
釣り方は、ホタルイカの動きをイメージしたスローリトリーブのストップ&ゴーかただ巻き。ロッドを立て気味にして表層をヨタヨタと泳がせる。
これを行うときの松任さんのリトリーブ速度は、2秒でハンドル1回転を基準に状況を見て速度を加減する。ストップ&ゴーはハンドルを2~3回巻いては止めをくり返す。
好適なルアーは?
ミノーやシンキングペンシルが用いられるが、レンジキープ能力の高い前者が風波のある時などに扱いやすい。松任さんも主力はミノーだ。ただ、ミノーと言ってもホタルイカのサイズや、特有の動きを演出できることが重要。
ホタルイカはジェット噴射やエンペラをはためかせて泳ぐ。小魚のように尾や体を振って泳がない。このため、ボディを振らない静かなローリングアクションのミノーが好適となる。