3月と4月は、海のオカッパリの釣りはまだまだ始まらない。筆者は春のシーズン再始動は5月からだと思っている。しかし、もう立派に春と言える3月4月が、なぜ釣れ渋るのか?主な理由は海水温が上がらないからだが、それと関わる2つの要因も含め解説していこう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
「初春」のオカッパリは釣れない?
いわゆる「初春」。3月4月に釣りに出て、ノーフィッシュの洗礼を受けたことがある人は多いだろう。狙い物にもよるが、この時期は安定して釣果が出る季節ではまだない。魚にとってはまだ冬で、水が冷たく、動きが鈍いのだ。
特に沿岸の魚は動きにくい。沖の深場では釣れるが、沿岸はまだまだ。その理由は?
理由:海水温とベイト
3月と4月、人間にとっては物事の始まりの時期にもあたり、何かが起こりそうな気分になってしまうのだが、沿岸の魚はまだ動かない。その理由には、次の2つのものがある。
海水温が上がらない
何よりも海水温が上がらないことが大要因だ。海はどこでもそうだが、海水温は、1か月前の気温と同じくらいだと言われる。3月なら2月の気温、4月なら3月の気温が海水温というわけだ。
今、筆者がこの記事を書いている今は3月8日。暖かい日だが、最高気温は12℃だ。ざっくりと計算すれば、来る4月は海水温12℃となる。春の動き出しといえばメバルだが、メバルの適水温も14℃~なので、4月はまだ冷たい海である。
ベイトがわきにくい
これも海水温と関連することだが、水が冷たいと、小魚のベイトとなるプランクトンがわきにくい。動物性プランクトンも、植物性プランクトンも増殖しにくい。そのため、小魚が出てこない。
春はマイクロベイト、あるいはバチ抜けでスタートだが、それらベイトがわかないのだ。だから、魚としては沿岸で動く理由がない。
沿岸に魚が戻ってくるのは5月くらい
気温の影響をもっとも引きずるのは海の表層で、秋冬も一気に寒くなった日は、表層で魚が反応しにくくなる。そして、広くて深い海にとって沿岸の一帯は、全体に「浅瀬」であり、「表層」である。だから、いち早く冷えやすく、冷え切ると、なかなか温かくならない。沿岸で海水温が上昇せず、春の再始動が遅れるのには、そのような理由もある。
だんだんと水が温かくなって、魚が戻り始めるのは、5月だ。筆者のイメージでは、新月周り最初の大潮に乗って、魚が帰還する。人一倍海水温にうるさいアジの回遊があれば、もはや春の海。また魚種はシーバス、メバルと限定的だが、バチ抜けに反応する魚が水面でばしゃばしゃと言い始めたら、スタート!
もう少し早く釣りたいなら、潮通しがいい海でマヅメの回遊を狙おう。沖の温かい潮が流れ込んでくるタイミングで、アーリーシーズンにも限定的に魚が釣れる時間帯がくる。黒メバルの回遊がある地域ならば、朝夕のマヅメで豊漁に恵まれるかもしれない。
メバルの再始動がシーズンインのサイン
上でアジの回遊がサインだと言ったが、春アジの回遊は、沿岸ではまったくないこともある。産卵後となると釣りにくくなり、アジングで海の様子を見るのは難しいとも言える。
では、何を春の始まりと取るか?まさしく「春告魚」と言われるメバルだ。メバルはどのような海域にもいて、釣りやすい。通年釣れるが、ポンポンと反応するようになれば春の再始動だろう。また比較的釣りやすい春の底物に、タケノコメバルがいる。
タケノコと言うようにタケノコを引っこ抜くような釣り味のこのメバルも、春の魚。まだメバルの反応がパッとしないならば、ライトロックタックルで、カサゴと共にこいつを狙うのも一興だ。そんなことをしているうちに、あらゆる釣り物がスタートするだろう。
<井上海生/TSURINEWSライター>