メバルは非常に警戒心が強い根魚だ。しかし、どういうわけか、夜になると簡単に釣れてしまう。場所によっては、デイゲームも難しくはない。「警戒心が強い」ことも、海底に潜る「根魚」であることも事実なのだが、なぜ、特に夜は表層という海面直下で、いともたやすく釣れるのだろうか?あくまでメバリング愛好家の筆者の推測ではあるが、この矛盾するような行動原理について、ひとつの結論めいたものを考えてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
メバルは表層の魚
メバルは海底や壁際の地形変化に潜り込む根魚だ。この種の魚は、特にデイゲームは底ベタ・壁ピタで、きわめて釣りにくい。そうは言っても、小さいサイズはちょろいこともあるが、まあそれはそれとして。
そんな、警戒心が高い上、底ベタ壁ピタのメバル君であるが、どういうわけか、夜になると簡単に釣れてしまう。メバルは海の「表層」という海面直下まで出てきて、軽量のジグ単にバクバク食いついてくる。一体この魚は……昼は警戒心が強く、夜になるとその警戒心を一時的に思いっきり解いてしまう彼らは、どのような魚(神経の持ち主)なのだろうか?単におばかと言っては失礼だ。メバリング愛好家として、少し考えてみたい。
なぜ夜は表層なのか?
メバルが夜になると表層に出てくる理由。まず、決定的な第一の動機は、「捕食のため」だろう。それ以外には考えられない。
夜行性の魚は多い。シーバス、アジ、チヌ、など。そんな沿岸のライバルたちに負けないように、優先してエサをとりたいのだろう。メバルは目が利く上に(あくまで筆者の印象ではある)食べるのが結構うまい。
「メバル」という名前は「眼張」と書くらしく、実際、メバルの目はでかい。視力はかなりいいだろう。しかし、それほど目が利くのならば、わざわざ危険を冒して表層に出てくる必要はない気もする。エサが下に落ちてくるまで待って、食ってしまえばいいのだ。
海の表層は、危険な場所だ。下から外敵に食われてしまうこともあるだろう。また、釣り人に見つかりやすい。壁際からはあまり離れないが、昼の着き場の海底から離れるのには、メバルたちにとっても不安さがあるはずだ。それが、なぜ表層に……?
筆者が考える「表層の理由」
筆者は、メバルが夜になると表層に出てくることについて、3つの考えを持っている。
他の魚よりも優先的にエサを奪いたい
これは上述の通りだ。目の良さを最大限に活かして、しっかりと腹一杯に捕食するため。
外敵が少ない
ここがポイントなのではないかと思う。メバルは、沿岸の魚としては、ほとんど天敵がいないのではないだろうか?メバルを釣っているとたまにシーバスが追いかけてくるが、食われたことはない。アジは、シーバスが殺気立っているときにはめちゃくちゃ食われる。
ちなみに、同様にカサゴも、シーバスに食われない。カサゴ、メバル共に、あまり食いやすい魚ではないから、だろうか?なんかギザギザしているし。稚魚は食べられそうだが。
人の存在を見切りやすい
メバルは賢い魚だとよく言われる。一度見たワームやルアーには、二度と反応しない。沿岸の釣り人の姿が見えることは怖いだろうが、彼らが直接自分たちを捕獲できないことは知っている。だから、目で釣り人の姿が見えたとしても、別に怖がることではないのだ。
そもそもメバルが表層につくのは自分たちの元からの習性だろうから、そこへ人が割り込んできても、「知るか」みたいな話なのだろう。人の姿を見切ることはむしろ、彼らにとっては「あそこでは食うまい」という開き直りになる。釣り人にとっては「スレ」になるわけだ。
根魚の中の「変わり者」かも?
筆者が知る中で、夜の表層に浮く魚は、メバルの他にいない。アジは表層に群れを形成することもあるが、時間帯によってコロコロとレンジがかわる。「夜は確実に表層にいる」というのは、なんとも分かりやすくて易しい魚だ。
一時的に2月3月と冷え込む夜は、ボトムに着く。活性は低くなるが、このパターンもまた分かりやすいので、メバルは釣りの公式が勉強しやすい魚だ。毎年当然のように釣っているが、意外にカサゴなどと比べると、根魚の中では「変わり者」なのかもしれない。
<井上海生/TSURINEWSライター>