今年も太公望にとって待望の一大イベントであるヤマメ・アマゴ釣りが解禁。シーズン初釣行がこれからという方は、きっと仕掛け作りに余念のない時期だと思う。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
いよいよ渓流釣りが解禁
立春をすぎ、辺りは梅の小花が咲き乱れ、春の訪れを告げている。今年は、例年と比べて暖かな2月となっている。気象台発表では、3月2日までの天候も平年と比べて気温が高い見通し。昨年から続いていた熊本県・球磨川(くまがわ)水系の渇水も、このところの長雨で解消された。
それに感化されて、ヤマメの目覚めも早く、少しずつ流れのある場所へ移動し、水生昆虫を食べあさっていることだろう。
ヤマメ釣りのメッカである九州脊梁山地(熊本・宮崎県)を源にする多くの水系は、近年の水害でこけむした美渓の渓相が、ことごとく砂利で埋もれ、すっかり様変わりし、魚影も激減してしまった。しかしながら、昨年は、台風などによる河川災害もなく、生き残りはもちろん、昨年放流された稚魚や孵化した個体も順調に成長していると感じている。
まだまだ河川工事や通行止めも続いている状況だが、災害の傷を癒すこともでき、今シーズンの見通しも昨年と比べたら明るいと感じている。
昨年の私は、釣行日数が少なく、決して満足できるものではなかった。だが、釣行のたびに尺ヤマメも含め、厳しい環境を生き抜いたヤマメたちと多く対面できた。やはり、釣行の際は、少しでも災害河川や工事区間を避け、ヤマメ放流実績河川の分析や事前の道路状況を把握して、準備八割で、ていねいな釣りを実践すれば、それ相応の釣果が付いてくると実感した。
渓流釣りの魅力
渓流釣りの魅力といえば、釣果だけでなく、美しい透明度ある渓流や森の香りと色彩、そして、移りゆく四季を五感で感じ取り、自然と対話しながら楽しむ癒しの釣りだと思っている。そして、何よりも、サケ科で美しいパーマーク(斑紋)をまとったヤマメ・アマゴとの駆け引きが大変面白いことに尽きる。
彼らの生育場所は、冷水と良好な水質の流域に限られ、厳しい環境下でも生き抜くために、抜群の学習能力と警戒心を兼ね備えており、そう簡単には釣れてくれない。
試行錯誤しながら攻略し、ヒットすると力尽きるまで抵抗し、突進速度というべき引きの強さは特筆すべきところであり、ゲーム性も高く、釣り人の間でもたいへん人気な魚でもある。
渓流釣りのルール&マナー
渓流釣りを楽しむ上では、いくつかのルールがある。
ルールその1
河川を管轄する漁協から発行される遊漁券(鑑札)を必ず購入すること。ヤマメ・アマゴ増殖や魚影の維持には、管轄する漁協からの放流が欠かせない。
遊漁券の不携帯は、法令に抵触し警察沙汰になるので注意すること。ただし、南阿蘇の白川上流などの河川では、一部漁協管轄外なエリアもあるので事前に確認してほしい。また、近年はスマートフォンを活用したインターネット上で遊漁券を購入決済できる川釣りアプリもある。
ルールその2
先に釣りをしている人(先行者)がいたら割り込まないこと。学習能力に長けたヤマメ・アマゴの特性上、先行者がいた場合は、釣りにならないことが多々ある。
先行者のいる場合は、原則、場所を移動したり、1km程度距離を空けて、渓流に入る(入渓)ことを検討しなければならない。解禁など混み合う日では、例外的に致し方ないが、原則これらは古くからの伝統でありマナーでもある。
ルールその3
原則、上流へ釣り上がる(遡行)。これは、渓魚が、流れの川上に頭を向けて泳いでおり警戒心が強いためだ。基本的に下流側から近づいた方が警戒心の強いヤマメ・アマゴに悟られにくい。例外的に、川幅の広くて水量豊富な本流域では、アユ釣りのように下流へ釣り下る場合もある。
ルールその4
むやみに乱獲しない。キープ派、リリース派の考え方は人それぞれ。その点は、あまり強要したくない。なぜなら、ヤマメ・アマゴは、大変おいしく人気があるためだ。ただ、これだけ自然環境が悪化し、個体数の減少が常態化している。キープする場合は、これらも念頭においてほしい。常に持ち帰る意識だけだと、間違いなく魚は減少し、特に翌年の魚影は薄くなるもの。これからは、釣り人自身の意識も変えていかなければならない。
例えば、今夜のおかずに家族分だけとか必要最低限の持ち帰りに留めたり、キープ派も次回また遊んでもらえるようにキャッチ&リリースを取り入れたり、自分なりに考えて、自然に優しい釣りを実践してほしい。