釣りをしていると「魚にラインを見られたのかな」と思うことがある。通常水中にはないラインは明らかに異物であり、魚にとっては怪しいもののはずだ。だが本当に魚にラインは見えているのかと考えると、どうだろう?当然どんな魚もイトを使って釣れるわけだし、知りようのないところがある。ここではライトゲームアングラーの筆者が魚から見たラインについて、私見を述べたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
ラインの色について考える
まずラインの色だ。業界全体で、緑とピンクが多い印象がある。カーボンラインやナイロンライン以外に透明が使われないのは、おそらくアングラーが見えにくいからだろう。人間の側の問題だ。色の見え方については多くの情報があるが、緑とピンク系が多いのは、それが魚にとって見えにくいカラーなのか、水に溶け込みやすいカラーなのだと思おう。おそらく、光を透過させて、シルエットを作りにくい色なのだ。
よってアングラーは、色は素直に緑かピンクを使っておけばいい。いや、それ以外でも魚に対する見えにくさは考えられているはずなので、どれを使っても問題はないだろう。
PEラインはシルエットになる、らしい
ここで結論めいたことを言っておくと、魚に対するラインの見え方は、「シルエットになるかどうか」という点だ、と私は考えている。つまり水中で影になってしまうか、どうか。少なくともどんなラインも影になってしまうだろうから、太いラインであるほど魚が警戒心が持ちやすく、釣れにくくなる、これは間違いない。
その上で、ソルトでは主流のPEラインについて考えてみる。PEラインは撚糸で、何本ものイトを撚って作っている(そのために強度が高い)。ものすごく乱暴な言い方をすると、縫い物みたいなラインというわけだ。つまり単線に見えてもライン同士が折り重なっている状態なので、当然シルエットは出やすい。
PEラインは光を透過しないので、水中でばっちりとシルエットになる。またしても乱暴な言い方だが、ほとんど、光を吸収する黒いラインを使っているようなものだ。だがPEラインは細く高い強度で作れるので、魚に対し警戒心を最大限に与えないようにできている。
モノフィラ系は見えにくい?
では、PEラインに対して、というべきか、フロロカーボンラインやナイロンラインや、エステルラインはどうか?これらのラインは「モノフィラメントライン」といい、ひとつの素材で簡易に作られている。それが魚から見えにくい色となると、もうほとんど実質見えないのではないか?と思ってしまう。
だが、そんなことはない。実際に釣っているとわかるが、確実に見えている。確かにシルエットにはなりにくいのだろうが、魚はラインを気配として、また物理的な線として間違いなく把握している。見えている魚の群れに向かってイトを通してみるとわかるが、ルアーでなく、魚はラインを避ける。そういうことだ。
ただ、たとえばアジングに用いるエステルライン0.1号~0.3号のかなり細いラインになると、魚はラインにスレにくい。イト鳴りのするようなアクションをしているとスレるが、軽量リグをふわふわと漂わせる釣りでは、あまりラインを気にしない。おそらくラインそのものが水に当たって発するかすかな波動が、魚に伝わりにくいためだと思う。
結論:確実に魚にはライン見えている
魚には、確実にラインは見えているだろう。そうでなければ、時折遭遇する、あの勇壮な群れをなすボラの大群にも、もっとラインが当たるはずだ。まあ、ヤツらに実際にラインが当たることもあるが、あえて避けないのだろう。
「ラインは魚に見えている」のは間違いない。色と細さは、それをどれだけ見えにくくするかという、人間の工夫だ。そう思えば、アングラーもラインシステムと実釣時のラインさばきがどれだけ魚釣りにおいて重要か、深く再考しようものだろう。
<井上海生/TSURINEWSライター>