近年、チョイ投げがブームになっている。道具が軽快で、飛距離もせいぜい70m位までで楽しめるので、幅広い層のアングラーに親しみやすい。チョイ投げを意識したロッドや、ルアーロッドと組み合わせることを想定した錘など、タックルも充実してきている。ルアーマンならキャストもお手のもの、更にお気軽に楽しめると思う。今回は冬の紀ノ川でチョイ投げ釣りに挑戦した模様をお伝えしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSUIRINEWSライター・牧野博)
チョイ投げ釣りのシーズン
チョイ投げで狙いやすいシーズンは、やはり高水温期となる夏から初秋あたりとなるが、実は、水温は12月中旬あたりまではまだ16~18℃あたりをキープしていることが多く、場所によってはチョイ投げでも楽しめる。
11月下旬にもなれば、朝晩は結構冷え込むが、一度、この時期の穏やかな日に砂浜の波打ち際に手を浸してみると、その暖かさがわかる。魚の活性を左右する大きな要因は水温であるので、魚の活性はまだ結構高い。
冬場でも、たとえば近畿南部の太平洋岸や四国の東南部の海岸は比較的水温が高めで、このような地域で、やや水深のある漁港内や、川の河口部でも日当たりが良くて常に風裏になる場所などでは、キスやハゼが結構釣れたりする。
なかでもチョイ投げで狙いやすいのは落ちハゼで、2~3月の産卵に備えて、干潟近くの暖かい場所で、ミャク釣りの平均サイズより一回り以上大きなものが竿先を震わせる。
実践釣行
紀ノ川河口部の落ちハゼ狙いで、日没にかけての2~3時間、チョイ投げで狙った釣行記をご紹介したい。また、そのときの釣果の状況を基に、さらに下流側で、投げでキスを狙ってみた釣況についても報告する。
ハゼは12月17日と23日、いずれも夕刻3時半から6時位まで、紀ノ川右岸の北島橋の近くでの釣果である。キス、ハゼとも、竿1本の引き釣りで狙った。落ちハゼのタックルは次の様なものである。
12月17日
午後4時前位から約2時間の実釣で、ハゼ16cmまでを5匹、ピンギスが1匹。時折雪の舞う寒い日であったが、橋脚の周辺のカケアガリを探して、そこでハゼの魚信を捉えることができた。ピンギスが1匹混じったことが、また水温が高めであることの証拠といえる。ポイントまでの距離は2色前後であった。
12月23日
午後3時過ぎから約3時間の実釣で、ハゼ15cmまでを8匹、最初のハゼの魚信はピンギスとの一荷だった。橋脚の川下側の1~2色で、散発的に魚信が出た。暖かい日が2~3日続いたので、先週よりも活性が上がったと思われる。
12月17、23日とも、落ちハゼに混じってピンギスの釣果があった。河口内のかなり広い範囲にわたって、キスが入り込んでいる証拠である。例年に比べ若干時期的に遅い感じもするが、もしかしたらさらに下流ではキスが結構釣れるのではないかと思い、6日後に普通の投げで狙ってみた。
12月29日
午後2時半ごろから約3時間、紀ノ川右岸、紀ノ川河口大橋の橋脚の周辺を探ると、1投目からキスの魚信が得られた。さすがに高水温期のような強い魚信ではないが、ほぼ投入ごとにキスの触りが感じられる。
外道はたまにヒイラギが来る程度でフグも少なく、17cmまでの小型が中心であるが、15匹の釣果だった。この日は3~4色位の中投でくることが多かったが、5~6色ゾーンでも結構魚信があった。
冬場も投げ&チョイ投げでお気軽釣行
冬場でも投げ&チョイ投げで狙える魚種は多い。今回紹介した2つのポイント(ハゼ&キス)は、それほど水深のあるポイントではないが、2つ共通点があると思う。
1点目は、北西の風に対して風裏になり、しかも日当たりのいいイントであるということである。釣行したのはいずれも午後の「かなり遅めの時間帯であるが、暖かい日であれば、水温が上がりやすい場所なのではないかと思う。
まだ、本格的に水温が低下していない1月中旬位までなら、暖かい日であれば浅場の方が水温の上昇は速いと思われる。アングラーにとっても風裏の方が寒さをしのげるのでより集中することができるだろう。
2点目は、干潟の浅場が近くにあるということである。ハゼは干潟の泥の中で産卵することが知られているし、干潟にはキスやハゼのエサとなる多毛類が多くいる。エサが得られやすい場所であることにも注目すべきだろうと思う。
今回釣った落ちハゼを使って甘露煮にチャレンジしてみた。次回その模様をご報告する予定である。
<牧野博/TSURINEWSライター>
紀ノ川河口