東海圏には、数多くのハゼ釣りフィールドがある。その中でも魚影の濃さ、水質やロケーションの良さに定評のある木曽川は、近年釣り人が注目するフィールドだ。今回は木曽川の立田大橋周辺のポイントや攻略法を中心に説明していきたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)
立田フィールド紹介
暦の上では「立秋」を過ぎ、秋が始まる時期とされる。しかし近年は、この時期でも夏らしい暑さが多く、立秋とは名ばかりと感じている人も多いことだろう。
そんな暑さのなかでも元気いっぱいの魚たちがいる。それは、ファミリーフィッシングの代表格であるマハゼだ。
サオ先に伝わるブルブルッとした感触、心地良い引きは釣り人を魅了してやまない。またその手軽さと食味の良さから、私たち日本人に深く浸透している釣りでもある。
立田地区は愛知県の最西端にある愛西市にあり、岐阜県や三重県との境界部に位置している。木曽川によって形成された肥沃(ひよく)な土壌の濃尾平野にあり、農地や河川などの自然が多く広がる。
また、大半が海抜0m以下の地域である。同市を流れる木曽川はもとより、隣接する長良川や揖斐川などにより、古くから水害との戦いを繰り返してきた。それにより水との関わりが深く、同市の歴史は治水の歴史ともいえる。
春先からの木曽川
今年の木曽三川は、春先から出水による水温変動や水潮との戦いだった。特に雪代が多く、例年に比べて水温変動は大きかった。また雪代が一段落した後も度重なる山側からの出水により、水潮の影響を大きく受けた。
これらにより、上りマダカやテナガエビは、例年通りのシーズナルパターンとはいかなかった。現在でこそそれを取り戻しつつあるが、私はハゼも同様のパターンにハマってしまうのではないかと心配した。しかしそれは無用の心配で、7月以降の天候の安定により現在は例年通りの動きを見せている。また今年も魚影は濃く、昨年に比べて平均サイズが良いとの情報を耳にしている。
仕掛け&エサ
まず木曽川は川筋ということで、流れに対応する仕掛けが必要となる。ここが他のフィールドと大きく違う。また川底の大半が砂質で深さが異なるため、ポイントごとにオモリの大きさを変える必要がある。それでは、木曽川での一般的な仕掛けをいくつか紹介しよう。
ミャク釣り
ノベザオ2.7~5.4m、ミチイト1~1.5号、中通し丸玉オモリ1~3号、ハゼバリ5~8号。
ウキ釣り
ノベザオ2.7~5.4m、ミチイト1~1.5号、ウキ(玉、棒、シモリなど)、オモリ(ウキに合わせる)、ハゼバリ5~8号。
チョイ投げ
コンパクトロッドやルアーロッド1.8~2.7m、2000番クラスのリール、ミチイト2号、中通し片テンビン、ナスオモリ5~15号(ポイントによって変更)、市販の2本バリ仕掛け(ハリ5~8号)。エサはイシゴカイである。
ポイント紹介
次に立田周辺のポイントを紹介しよう。
(1)立田大橋上流・下流テトラ帯
まず立田大橋周辺のポイントで思い浮かぶのは、橋を挟んで上流と下流にあるテトラ帯だ。皆さんになじみ深いのは、下流テトラ帯だろう。ここは東海広場(BBQ広場、パークゴルフ)が隣接し、トイレが近くにあるポイントだ。護岸から5mほど平テトラが入り、その先は斜めに石が組まれている。石組みの先は、遠浅の砂地が広がる。
満潮時は、護岸からオモリ5号以上でのチョイ投げやテトラの穴で、ミャク釣りやウキ釣りで狙う。そして干潮時は、テトラ先端からのチョイ投げや3m以上のノベザオを使ったミャク釣りやウキ釣りで狙う。
ここは護岸から7mほど障害物(テトラや石組)が入っているため、満潮時はサオを立て、リールの速巻きで仕掛けを回収してほしい。そうすることで、足元の根掛かりを防ぐことができる。
干潮時はテトラ先端まで出ることができるため根掛かりは少ないが、テトラ上を歩く際は継ぎ目や穴に注意してほしい。またテトラがぬれている場合は、滑りやすいため注意が必要だ。
一方、上流テトラ帯は下流側とは違い、足元から深く流れが強い。そのため、チョイ投げは8号以上のオモリを使用したい。また干潮時のテトラ先端からのノベザオは、4.5m以上の長さが欲しい。それ以外は下流側と注意点は同じだ。
また護岸沿いに草が生い茂る部分も多く、潮が引き足場が広がる干潮前後がお勧めだ。なお小さな子供連れの人は、満潮前後の足場の良い護岸からの釣りがいいだろう。
(2)立田大橋上流・下流(船着き場)
船着き場は、足場が良く小さな子供連れにはうってつけのポイントだ。また船の出入りがあることから、根掛かりが少ないのもうれしい。それから増水時にはハゼの避難場所となり、超一級ポイントへと変貌する。
皆さんになじみ深いのは、下流船着き場だろう。ここは近年砂が堆積したことで、全体的に浅くなった。そのため船着き場角からのチョイ投げをお勧めする。また船着き場内は小型が多くなってしまうが、2.7m以上のノベザオを使用しウキ釣りやミャク釣りでも狙える。ただ係留されている船に乗って釣りをしたり、仕掛けを船やロープに引っ掛けたりしないように注意したい。
そして上流船着き場は、私のお勧めポイントの1つである。なぜなら深みに隣接することでハゼの魚影が濃く、安定した釣果を残せるからだ。釣り方や注意点は下流船着き場と変わりない。ただ1点違いがあり、深みによる流れの強さからチョイ投げはオモリ8号以上を使用したい。
(3)立田大橋上流・下流(砂浜)
上流側は船着き場の上手、下流側は水門の下手に広がる砂浜だ。潮が引いたときだけ現れる干潮前後限定のポイントだ。砂浜ということで足場が良く、根掛かりのほとんどないポイントである。
砂浜沖は流芯に近いため流れは強い。そのためチョイ投げは、オモリ5号以上を使用する。ただ軽いオモリで多少流されても、一帯が砂底のため問題はない。しかし隣に釣り人がいる場合は8号以上のオモリを使用し、流され過ぎないようにしたい。ノベザオなら3.6m以上を使用しミャク釣りやウキ釣りで狙う。
また、ここではシジミを採ることができる。ただ急な深みもあるため、入水は膝までにしてほしい。
(4)立田大橋下流(水門)
一般的には、ウナギ釣りで有名なポイントだ。ここは水門沖に深みがある。水門から排水された水と沖の流れとが合流する部分にそれはある。その周辺は浅場が広がり、特に下流側は干潮時に砂浜が広がる。
ポイント全体に数多くのハゼが生息し、特にその深みに良型が集まる。手前の浅場はオモリ5号のチョイ投げでも大丈夫だが、沖の深みは流れが強いためオモリ8号以上を使用したい。またここは足元からある程度の水深があるため、3.6m以上のノベザオを使用しウキ釣りやミャク釣りで狙う。
それから、水門前の排水路は立ち入り禁止のため注意したい。時折排水することがあるため、サイレンが鳴ったら水辺から離れるようにしていただきたい。
(5)右岸突堤
ここは船頭平公園から水郷の森の間にある2本の突堤だ。突堤間は、干潮時には砂浜になるほどの浅場である。しかし突堤沖は流芯が近く、一帯が深場となる。満潮時は突堤周りのチョイ投げや3.6m以上のノベザオを使用し、ミャク釣りやウキ釣りで狙う。
干潮時は突堤沖へのチョイ投げや突堤先端周りを3.6m以上のノベザオを使用し、ウキ釣りやミャク釣りで狙う。ただ深場に隣接した突堤のため、満干ともに突堤沖へのチョイ投げは8号以上のオモリを使用したい。
突堤先端から沖は、昔の石組みが残っているため注意が必要だ。現在ここは河川敷への車の乗り入れができない。そのため水郷の森に駐車し、徒歩でポイントに入る必要がある。また今年の春、葛木港が新しくなった。上手の島が突堤へと整備され、今後楽しみなポイントが出来上がった。