いざカヤックを購入して、意気揚々とジギングやタイラバに出かけます。すると、陸っぱりや遊漁船ではできていたはずの「底取り」が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。底取りができないと、釣果に影響するだけでなく、根掛かりのリスクも増えることに。今回は、『ホビーカヤック・パスポート10.5』に乗る筆者が、カヤックフィッシングでの底取りのコツについて解説します。
(アイキャッチ画像提供:HOBIE JAPAN)
カヤック操作による解決策
まずはカヤックの操作で解決する方法から解説します。
バーチカルな釣りでの底取りテクニック
水深が深いエリアでは、魚探に反応があったらなるべく真下にルアーを投入したいところ。斜めにルアーが落ちていくと、魚の群れから離れたところをルアーが通過してしまいます。ホバリングを駆使して対応しましょう。
ホバリング
ホバリングとは、ポイントの真上に定位すること。おもにバーチカルの釣りで役立ちます。前後の位置と向きをうまく整える必要があり、なかなか難しいテクニックです。
ラインの出ていく方向に合わせて前進したりバックしたり、さらにカヤックが横向きにならないようにラダーを操作したり……。どうしてもうまくいかない状況ならば、スパンカーを使用するのも有効な解決策。カヤックの向きを整えてくれるので、前後の調整だけに集中できるのでホバリングがかなりラクになります。
ホビーカヤックなら簡単
ホビーカヤックは多くのモデルがバック可能で、さらにロッドを持ったままペダルやレバーを操作できるので、ホバリングしながらの釣りがとてもしやすいと感じます。筆者の場合は、乗っている人間のテクニックよりも、カヤックの性能に助けられている部分が大きいですね。
フリーハンドで向きを変える
足漕ぎカヤックは、あらかじめラダー操作用レバーをひねっておけば、ペダルを漕ぐだけで少しだけ前進しながら、左右に向きを変えることが可能。フォール中であっても、ほんの一瞬レバーに触れば微調整もできます。
カヤックは放っておくと横向きに流されることが多いですが、安定性の面であまり望ましい状態ではありませんし、底取りもやりづらくなります。風や潮流に対してカヤックの頭を向けたい時は、このテクニックを使ってみてください。
カヤックによっても違う
カヤックのモデルによって、コントロールのしやすさや流されにくさに違いがあります。カヤックの自重や長さ、底面の形状、操作系の構造など影響する要素は様々。
こればかりは、実際に乗り比べてみないとわかりづらいところです。参考として、今回のテーマに最適なカヤックがホビー社から発売されていますので、後ほどご紹介します。
フォールのコントロールによる解決策
続いては、ルアーのフォールをコントロールすることによる解決術です。
キャスティングでの底取りテクニック
比較的浅いエリアでは、広くポイントを探るために、キャストしてから底取りをするのがおすすめです。ベタ凪・無風であれば、とくに意識しなくても大丈夫ですが、風があれば風向きによって底取りのコツが変わってきます。
追い風でキャストする場合
追い風状態でキャストした後は、落としたルアーに近づくようにカヤックが流れていくので、糸ふけが出たままになりがち。
この場合は、テンション(カーブ)フォールをさせながら、必要に応じてカヤックをバックさせてホバリングするか、リールでラインを少しずつ巻き取って、糸ふけを一定に保つのがコツ。
ラインがフッとたるむ瞬間が着底のタイミングになるため、ラインの動きをよく見ておきましょう。
向かい風でキャストする場合
向かい風でキャストすれば、ルアーとカヤックが離れていくため、終始ラインが張ったままになりやすい状態に。テンションフォールでは、着底時のラインのたるみがわかりづらいため、この場合はフリーフォールを使います。
スプールからラインが放出されるのをサミングやフェザリングである程度調整しながらフォールさせ、ラインが止まれば着底。完全フリーで落としていくと、着底した後もカヤックが流される分スルスルとラインが出てしまうので注意します。
タックル設定による解決策
3つ目はタックルの調整による解決法です。
ルアーを重くする
カヤックフィッシングに限ったことではありませんが、底取りが難しい場合はルアーを重くすることが有効です。おかっぱりと比べて根掛かりしても外せることが多いカヤックフィッシングでは、大胆にウエイトアップしてもルアーロストの可能性は低いですよ。
材質の比重に着目
メタルジグやタイラバなどは、鉛からタングステンへ材質を変更するのもおすすめです。比重の高いタングステン製品は、重量は同じでもコンパクトになるため水の抵抗が減少。結果的により速く、よりまっすぐ沈めることが可能になります。
ただし、タングステン製品は高価なので、根が荒いエリアや、歯が鋭いサワラやタチウオなどがいるエリアでの使用は慎重に。
ラインを細くする
水の抵抗が少ない細いラインの使用も有効。潮流の影響を減らすことができます。細いラインでは魚とのファイトが不安かもしれませんが、カヤックフィッシングならば大丈夫。
周りに自分以外に誰もいないため、ヒット後にドラグを存分に駆使してやりとり可能だからです。底取りが難しい場合は1〜2ランクほどラインを細くしてみましょう。
魚探による解決策
最後は、魚探利用による解決策です。
魚探+カウントダウン
厳密にいうと「底取り」ではないですが、魚探を利用することで、実際には着底しなくとも底付近までルアーを到達させることができます。
最初の一投で着底までにかかる時間が何秒か数えておき、魚探に表示される水深と合わせて「このルアーでこの水深なら○○秒だな」と把握します。次からは、秒数で判断して着底寸前と思われるタイミングでリトリーブを開始。
タイラバのように着底後の巻き始め直後にアタリが多い釣りや、あまりに深いポイントではおすすめしません。しかし、水深が比較的浅く、根掛かりの恐れが高い岩礁帯や、海藻が生い茂っているエリアを攻めるときには有効です。