エギングタックルは、文字通りエギング専用……と思っている方も多いのではないだろうか。実はエギングタックルは、チョイ投げにピッタリのタックルなのだ。多くの魚が活発に動き始めるこの季節、アクティブかつ手軽に楽しめるチョイ投げスタイルのキス釣りを紹介しよう。今回は実釣編だ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
チョイ投げスタイルに必要な持ち物
チョイ投げスタイルに大掛かりな道具は必要ない。持参する物は非常にコンパクトだ。順に見ていこう。
竿&リール
著者の前記事でも紹介したが、エギングタックル&リールが基本となる。あらかじめガイドにラインを通しておき、イトの先にスナップ付きサルカンを結び、ロッドに輪ゴムで固定して持参すれば、釣り場到着後すぐに仕掛けをキャストできるのでオススメだ。
タックルケースの中身
5号程度の固定式テンビンが3本程度、市販のキス釣り仕掛けを6セット程度用意しておこう。頻繁に根掛かりするような場所にキスはいないので、基本的には仕掛けのロスが少ない。ただし、フグにハリを切られることがあるので注意していこう。後はイトくずを切るハサミとハリ外し用のプライヤー、危険魚用にフィッシュグリップがあればいい。
手洗いバケツとタオル
魚やエサを触った後に手を洗いたいので、バケツとタオルは必須だ。砂浜で釣る場合は直接手を洗えるが、時にキスをバケツに入れて手返しよく釣る瞬間もあるだろうし、バケツは持参しておきたい。
クーラー
これからの時期は暑くなるので、小型クーラーに氷と冷えた飲み物を持参したいし、エサも弱ってしまわないよう入れておきたい。砂浜の場合は、竿を直接寝かせてしまうとリールが砂を噛んでしまい悲惨なことになるので、クーラーに取り付けられるタイプの竿受けがあると便利だ。もしくは、フローティングベストのロッドホルダーを使用するのもいい。
キャストの仕方・コツを解説
釣り座を決めたら、いよいよ実釣。まずはキャスト方法について解説していこう。条件にもよるが、著者は毎回5号のオモリで60m~80m程度飛ばしている。距離を稼ぐには、遠心力を上手く使うことが大切だ。今回は右利きの場合の解説なので、左利きの方は手と足を逆にしてほしい。
構え方
まずはラインを右手人さし指先端の腹(爪の裏あたり)にかけ、リールのベールを起こす。オモリから竿先まで50cm程度の長さを取り(タラシという)、左の掌で竿尻を掴んだら、周囲(特に後方)に人がいないことを確認して、右肩で担ぐようにする。この時、右肘は曲がった状態になる。足は前後(左足が前)に少し広げておこう。
いよいよキャスト!
時計のハリでいう14時程度の角度に右腕を固定したら、素早く10時の角度まで右肘を伸ばすように動かす(物を前方に投げるイメージ)。この時、左手を腹(もしくは脇腹)の辺りに引き寄せるイメージで、連動して動かすのがコツだ。
人さし指にかかったラインは、頭上を通り過ぎたあたり(13時の角度)で放すようにすると、綺麗に前方に飛んでいく。また、野球ボールを強く投げる時のように、腰の回転や、膝の屈曲を加えるとさらに飛距離が出る。慣れるまでは練習が必要だが、5~6回程度投げればコツを掴めるはずだ。
仕掛けが着水したら
前方をきちんと見ておけば、仕掛けが遠くで着水したのが見えるか、着水音が聞こえる。しばらくベールをフリーにしておくと、着底と同時にラインが止まるので、手早くベールを起こしてイトフケを巻き取る。浅い場所の場合は着底と同時にベールを戻し、すぐにイトフケを巻き取ってもOK。これでキャスト完了だ。
チョイ投げの基本的な釣り方
では、キャストが完了した後、どのようにすれば釣果を伸ばせるかを解説していこう。
ゆっくりと引っ張る
竿を引っ張る、元の位置に戻しながらその分のラインを巻き取る、という作業を一定の速度で繰り返す。基本は1秒あたり20cm~30㎝程度を目安に、食いが渋い時はさらにスローに動かす(1秒あたり10㎝程度)。キスは底にいる魚なので、仕掛けが浮くほど速く巻かないように注意しよう。メゴチばかりが釣れるならば、それは仕掛けが底から浮いている証拠だ。
アタリがあったら
仕掛けとオモリを固定式にしている場合、そのまま動かし続ければテンビンがバネのようになって自動的にハリ掛かりするが、活性が低い時はフッキングしないことがある。
そういう時は、一度仕掛けを止めてからそっと聞きアワセをするか、ほんの少しイトフケを出して送り込むようにしてから軽めにアワセを入れるとフッキングしやすい。
フッキング後
ハリが2本以上ある場合、そのままのペースで巻き続ければ追い食いが狙える。大事に1匹ずつ釣りたいなら、一定のペースで巻き上げ、そっと抜き上げるのがいいだろう。
数を伸ばすには
基本的にキスはいれば釣れる魚だが、より釣果を伸ばすコツを解説しよう。
その日のアタリ速度を探る
ゆっくり目が良い日もあれば、速巻きが良い日もある。その日アタリが出た速度を記憶しておくと、より釣果を伸ばすことが出来る。カケアガリやミオ筋など、引っ張る最中に軽い手応えがある場所で仕掛けをピタっと止めてみるのも効果的だ。
アタリがあった距離を覚える
キスは群れで移動しているため、アタリがあった距離(PEラインのマーキング、色)を覚えておくと、その後も効率よく釣ることが出来る。不思議なことに、立ち位置(釣り座)が変わっても、当たる距離だけはずっと変わらない……なんてことも多いのがキス釣りだ。
キスは足で釣れ
これは投げ釣り師の間で有名な格言。砂浜の場合はあちこち歩き回ってキャストし、アタリが連発する場所を探すとより釣果を伸ばすことが出来る。
固まっている場所を発見したら短時間で二桁も可能だ
堤防の場合の探り方
周囲のアングラーに気を付けつつ、立ち位置から扇状に探るのが基本スタイル。案外足元で当たったりもするので、距離も遠投から近投としっかり探ろう。ちょっとしたカケアガリを発見できれば、良型のチャンスもある。
気分爽快なチョイ投げスタイルを楽しもう!
仕掛けを狙い通りにキャストするまではそれなりに練習がいるが、慣れてしまえば実に気分爽快。キャストするだけでも楽しいのが、この釣りの最大の魅力だ。
とはいえ遠投すれば釣れるというわけではないし、足元で連発してしまい「そもそもチョイ投げとは……?」となってしまうこともある。小難しい理屈は必要なく、気分良く仕掛けをぶん投げて、美味しい魚を釣る。そんなチョイ投げスタイルのキス釣り、皆様も楽しんでみてはいかがだろうか。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>