今回の記事では、へっぽこ釣り師の私(筆者)の目線で、波止(岸壁・釣り公園なども含む)のエサ釣り用仕掛けについて市販と自作の違いを綴ってみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
仕掛けの自作は面倒くさい
釣具店に行くと、市販のエサ釣り用仕掛けが多種多様に並んでいる。市販の仕掛けは初心者や慣れない釣り方・釣り場での頼もしい味方ではあるが、一長一短があり、手間をかけてでも、少々下手でも、自作の仕掛けのほうが釣れる可能性が高まるケースもあると考えている。
私が仕掛けを自作するのはどのような場合で、理由は何かという話はこの記事の後半をご覧いただくとして、そもそも仕掛けの自作は面倒くさいものだ。
ルアーブームに押されてエサ釣りの規模自体が縮小気味の昨今、エサ釣りメインの釣り人は私を含めた中高年層がもっぱらで、釣りバリ、ミチイトとハリス、オモリ、結節具などを複数揃えて、チマチマとした手作業に時間を費やすような仕掛けの自作を、今の若い釣り人が始めるなどとは到底思えない。
インターネットがない私の子供のころは、解説本を見ながら仕掛けづくりの方法と手順を身に付けていったものだが、当時の本を見返すと、「よくもまあ、こんな面倒くさいことを続けてきたなあ」と自嘲する。
最近のエサ釣りを見て思うこと
こうした面倒くさいことを続けても、胸を張れるような釣果は今でも滅多にあげられないへっぽこ釣り師の私ではあるが、最近のエサ釣り模様を見て思うことはある。
エサ釣りメインの釣り人は減少傾向の一方で、エサ釣り関係の市場はルアーマンが釣れない時に片手間に行うケースや、初心者ファミリーの行楽として行うケースも含めてどうにか成り立っていると私は理解しているが、市販の仕掛けが手軽で便利な反面、その短所が一因となって釣果が得られない場面を釣り場で時折見かける。
釣れないのでエサ釣りに失望し、ファミリーは釣りそのものから遠ざかり、ルアーマンはエサ釣りを敬遠したり億劫に感じたりという残念な流れになっているのではないかと、一人勝手な思いが頭をよぎる。
市販品が優位な仕掛け
それでは、いよいよ本題の市販仕掛けと自作仕掛けとの比較の話に入っていきたい。まずは市販の仕掛けが優位なものを私なりにあげてみる。
サビキ&チヌ落とし込み仕掛け
自作だと明らかに手間がかかりすぎる。性能のいいものを自作するのも困難だ。
キスの投げ釣り仕掛け
エダス(枝ハリス)は短く細いハリスで、ハリは細軸の小さなハリという組み合わせが理想形なので、市販品が効率的かつ効果的。20cmまでがアベレージの軽量な個体がターゲットなので、よほどの安物でない限りハリス切れなどの心配もいらない。
タチウオの電気ウキ仕掛け
ワイヤーハリスを使うため、ハリのチモトに結着具を使っている廉価な市販品が定着しており、特に2本バリ仕掛けでは自作する手間に見合う特段のメリットは見当たらない。
海上釣り堀の仕掛け
番外編として、海上釣り堀仕掛けも市販仕掛けが優位だと考えられる。海上釣り堀は、初心者やファミリーフィッシングでも、30cm以上のマダイなどが簡単に釣れるというのがセールスポイント。
現地に手ぶらで行って、レンタルタックルに売店の仕掛けという組み合わせを想定して、釣り具メーカーが仕掛けを製品化しているので、市販仕掛けの使い勝手と耐久性は担保されている。
市販の仕掛けの短所とは?
では、自作のほうが市販品より優位な仕掛けはどのようなものか?それは波止のエサ釣り仕掛け特有の短所を理解すると逆に見えてくる。その特有の短所とは以下のようなものだ。
品質への不安
初心者、ファミリー、ルアーマンが片手間に釣る場合などでは、高額品の需要はないに等しい。従って、手頃な販売価格が仇となって、結び目などの作りが粗雑であったり、安物の細ハリスが使われていたりといった、「安かろう悪かろう」の品質不安な製品も市販品の中に紛れ込んでいる可能性は、残念ながら否定できない。
エダスが短い
2本バリ、3本バリの市販仕掛けの多くは、スイベルなどの結節具を使わずにエダスを設けているので、イト絡みを避けることを優先してエダスを短くしている。よほど食いが立っている釣り場でない限りは、エダスが短いと海中の魚は違和感を抱いて、食いつきが悪くなる。
ハリとハリスが太い
大物が掛かる可能性を想定した仕掛けでは、耐久性を重視して、ハリが大きめで、ハリスも太めのものが多い。実際に大物が掛かればいいが、魚体のアベレージサイズが小さめの釣り場では、魚の口に比べてハリのほうが大きい、太いハリスに魚が違和感を抱くといったミスマッチによって釣果を得る可能性を狭めてしまう。
また、ハリに活きた小魚を刺して泳がせるノマセ釣りでは、ハリが大きいとエサにした小魚が傷んで早く弱ってしまい、ハリスが太いと泳ぎが悪くなる、といったデメリットがある。