みなさんは釣り場のゴミ、拾ったことありますか?自分が出したゴミではなく、どこかの誰かが落としたゴミを。私も正直なところ、自分が出すゴミ以外はたまに気が向いたら少し拾うことがある程度でした。今回は、そんな私がかわるきっかけになった「ありがとう」ストーリーをご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター福永正博)
一人で黙々とゴミを拾うおばあちゃん
ある日、いつものようにカヤックフィッシングを終えて砂浜に戻ってくると、高齢の女性の姿が。腰をかがめて何かを拾っている様子。実はこの海岸、以前に台風で高価な宝石の原石が打ち上げられたことがある。地元の人が海岸で足もとを物色しながら歩くのは、よく見る光景なのだ。この人もそんな宝探しの一人だろうと思った。
しかし、よく見るとプラスチックの破片やペットボトルなどを一つずつ選り分けて袋につめている。お宝ではなく、ゴミを拾っているのだと気づいた。
一緒にゴミ拾い
パンパンにつまったゴミ袋が足もとに4つ。そのまま素通りできなかった私は、「このゴミ、全部一人で集めたんですか?」と声をかけた。すると、そのおばあちゃんは「そうだよ、誰かが拾わないとねぇ」と答えて、また黙々とゴミを拾い始める。「手伝います!」と私が言うと、にっこり微笑むおばあちゃん。その後1時間ほどいっしょにゴミ拾いをした。そして、いろいろな話をきかせてくれた。
大好きな海だからゴミを拾う
おばあちゃんによるとこの海岸は、
「行政の管轄が複雑で、役所はあまり清掃してくれない」
「河川から流れてきたゴミが漂着しやすい場所」
「若者や観光客にゴミを捨てていく人が多い」
とのこと。
それでも、誰が捨てたものであろうと、おばあちゃんはほぼ毎日自主的にゴミを拾うのだ。「子供のころから遊んだ大好きな海だからねぇ」と言って優しい目で笑うおばあちゃんがとても素敵に思えた。
海上ゴミも拾う
今まではいつの間にかゴミがなくなった海岸を見ても、役所が管理して掃除しているのかなと感じるだけだった。しかし今はちがう。私はそのおばあちゃんに会った日から、海上に漂うゴミと、カヤックを出艇する地点のゴミを拾うことに決めた。特に海上ゴミは、カヤックアングラーが一番回収しやすい立場にあるのだから。
今回出会ったおばあちゃんのように、個人で自主的に清掃活動している方々には本当に感謝と尊敬しかない。次にまた会えたら「おばあちゃん、いつもありがとう」と言いたい。そして、自分はゴミを捨てるじいちゃんではなく、拾うじいちゃんになろうと思う。
<福永正博/TSURINEWSライター>