クリスマスツリーが街を彩る季節になりましたが、実は海の中にも「クリスマスツリーそっくり!?」な生き物がいます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
海のクリスマスツリー?
クリスマスと言えばやっぱりクリスマスツリー。大きなもみの木を彩る、いろとりどりの飾りを見るとつい気分も華やかになってしまいます。
そんなクリスマスツリーが、実は海中にもあるということをご存じでしょうか。もちろん人工的な海中ツリーの話ではなく、天然のもの。それは「まるでクリスマスツリーのように派手な生き物」だというのですが……。
イバラカンザシ
その生き物とは「イバラカンザシ」。暖かい海を好み、サンゴ礁の上などで暮らす彼ら、まるでツリーのように大きいのかと思いきや、大きくても数cm程度のかわいらしい生物です。
いったいどこがクリスマスツリーなのか、それは彼らの「色彩」です。イバラカンザシという生物の最大の特徴は、非常にカラフルかつバラエティに富んだその外見。青や黄色、赤、オレンジなど、様々なカラーリングの個体がみられるのです。
またその形状もユニークで、櫛状のパーツがらせん形に巻いており、まるでクリスマスツリーのような円錐型になっています。その色合いと形状が合わさると「なるほど、これは小さいけどクリスマスツリーだな」と思わせてくれます。
実は「ゴカイ」の仲間
このイバラカンザシは、英語でも「クリスマスツリーワーム」と呼ばれており、誰が見てもクリスマスツリーに見えるのだなと感じます。しかし名前に「ワーム」とつくことからもわかる通り、彼らはこう見えてもワーム、つまりゴカイやミミズの仲間なのです。
ツリーのように見える円錐型のパーツは彼らの「エラ」で、ここで呼吸をしながら、餌となるプランクトンを集めています。このエラは収納可能で、外敵が近づくとさっと引っ込めるそうです。
イバラカンザシと同じような生態を持つゴカイの一種「ケヤリムシ」は、日本各地の沿岸にも生息しています。しかし残念ながらこのようにカラフルではなく、形状もクリスマスツリーというよりはヤシの木に似ています。
ちなみにイバラカンザシがこんなにもカラフルな理由については、ばらばらの色合いをすることで捕食者の目を散らす意味合いがあるのではないかと考えられているそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>