コッペパンやソフト麺など「美味しいけど素朴な」メニューのイメージが強い学校給食。ですが、地域によっては大変「豪華」な食材が提供され、話題になるものがあります。
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給食にベニズワイガニが登場
富山湾に面し、漁業が盛んな富山県射水市。ここで今月から、市内の小学校の給食に、高級食材として人気のある「ベニズワイガニ」が登場し話題になっています。
「ベニズワイガニ給食」は7日に、射水市中心部にある新湊小学校でスタート。市内の小学校年生に順番に提供され、11月上旬までには市内の全15校でベニズワイガニの提供が完了するといいます。
新湊小学校での給食の様子はメディアでも公開。児童たちには一人1杯の蟹を前に目を輝かせ、硬い殻を剥くのに苦戦しながらも、その美味に舌鼓をうっていました。
ウニやイクラが振る舞われる給食も
給食にカニが出るとはなんとも豪勢で羨ましい話ですが、実は射水市のベニズワイガニ給食以外にも「豪華な給食」が提供されている地域はあります。
根室海峡に面する北海道標津町では、給食になんと「イクラ丼」が登場するということで、ウェブでしばしば話題となります。赤く輝くこぼれんばかりのイクラの乗った丼がパック牛乳とともに並んでいるところはシュールですらあります。
また同じく北海道の太平洋に面した広尾町では、国内で最も珍重されるウニである「エゾバフンウニ」が入った茶碗蒸しが提供されることがあるそうです。
他にも徳島ではイセエビが給食に登場する地域が、また愛媛ではマダイで作る鯛めしが提供されるところがあるといいます。
なぜこんなに豪華な給食が?
上記の「ベニズワイガニ給食」の取組みは実は2003年にスタートしたもので、まもなく20年を迎えます。
射水市内にある新湊漁港は富山県下でも有数の巨大漁港で、ベニズワイガニの水揚げが多いことで有名。高志の紅ガニというブランドもあり、近年は自治体を挙げて強くアピールしています。
ベニズワイガニ給食は、給食でベニズワイガニを食べるという経験を通して、市の基幹産業である漁業に親しみを持ってもらうことを目的に行われているものなのです。標津のイクラ、広尾のウニなどいずれも同様の理由があります。
ちなみに給食で提供されるこれら高級食材の多くは、地元生産者から無償もしくは安価に提供されたもので、給食事業の予算を大幅に逸脱するものではないとのことです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>