アワビを陸上で養殖する技術が開発される 粘液への対応がキモだった?

アワビを陸上で養殖する技術が開発される 粘液への対応がキモだった?

高級魚介類の代名詞であるアワビ。各地で養殖が試みられてきましたが、ついに「完全陸上養殖」の技術が開発されました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

アバター画像 TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

「閉鎖型陸上養殖」の難しさとメリット

いまSDGsを意識する世界的な流れの中で、魚の養殖は欠かせない技術となってきています。

しかし、一般的な海面養殖は給餌による水質汚濁、集団飼育による病気の流行を防ぐための大量の薬剤投与など、環境に対して大きな負担を強いるものとなってしまっています。そのため、これらの欠点が無い「閉鎖型陸上養殖」に大きな注目が集まっているのです。

閉鎖型に限らず陸上養殖は、設備構築や初期の研究に大きな費用と期間がかかります。加えて、海水を循環させる装置を運用するための費用も常にかかり続けることから、小さな資本でスタートするのは難しいです。

アワビを陸上で養殖する技術が開発される 粘液への対応がキモだった?海面養殖はデメリットも大きい(提供:PhotoAC)

しかし一方で環境に与える負荷はとても小さく、また常に濾過した水の中で養殖を行うために、薬剤に頼らずとも病気の発生を抑えることができるそうです。さらに、水温や酸素濃度などといった環境を調整することで成長を早めたり、ストレスを低減してより健康な個体を生産することも可能です。

難しさもありながら、それを上回るメリットもある閉鎖型陸上養殖。今後、世界のスタンダードの一つへとなっていくのは間違いないでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>