意外と知らない海の生き物のコト 深海生物が水圧で潰れない理由とは?

意外と知らない海の生き物のコト 深海生物が水圧で潰れない理由とは?

釣り好きなら水の中の生物に一定の興味を持っていることだろう。ただ、水中の事は意外と判明されていないようだ。今回は、興味深い海の生き物について紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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Wataru_Nagai

はじめまして。釣りの守備範囲は金魚から大型青物まで!大学では海洋生物を専攻していたので多角的な分析もしたいと思います。

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外洋は例えるなら砂漠?

釣り人たるもの、なるべく人のいないスレていないポイントを探すものだろう。そういった意味では沖合にはロマンがあり、それを叶える船釣りにファンが多いのも頷ける。では、釣り船で一般的に狙う沿岸域を飛び出し遥か外洋はどうだろうか。

さぞや素晴らしい海が待っているかというとそうでもなく、陸地で言うならば砂漠地帯のようなものなのである。

意外かもしれないが、よくよく考えれば理由は単純。小中学校で学ぶレベルの理科で「生態系ピラミッド」と言う言葉はご存知だと思う。あれのスタートになる植物が外洋には少ないからだ。外洋のほとんどは水深が数千mの世界。海藻(海草)が生えることができず、生き物の棲家が少ない。さらに陸地由来の栄養も外洋にはほとんど届かず、プランクトンの発生も僅かなものになってしまう。

ピラミッドの基盤は僅かなプランクトンに託されることになるが、その基盤が僅かだと上はどんどんか細くなってしまう。故に外洋は砂漠に近しいものになってしまう。また偶然にもそれらプランクトンも潮や風に流されてプランクトンの濃い所と薄い所に分かれる。まるで濃い所はまるでオアシスだろう。

意外と知らない海の生き物のコト 深海生物が水圧で潰れない理由とは?外洋は砂漠?(提供:PhotoAC)

産卵と外洋

大潮の満潮時に産卵する魚などがいるが、実は外洋が砂漠なのと関係があったりする。

満潮時に放たれた卵や稚魚は引き潮に乗り沖合に向かう。これには分布を広げたりする役割もあるのだが、自己防衛力の低い卵や稚魚の状態で敵となり得る他の生き物の多い沿岸から敵の少ない外洋に行くという側面もある。

外洋まで逃げ切れた卵や稚魚の多くは外洋に点在するオアシスに遭遇できずに短い一生を終えるのだが、運よくオアシスに流れ着いた個体は成長し沿岸に帰ってこれるという仕組みになっている。一見効率が悪いようにも思えるが彼が絶滅せずに生きているのは、それが正解だからに他ならない。

ちなみにここでの正解というのは単純計算でメスが生涯に大人になる個体を2匹以上産んでいるということ。人の合計特殊出生率と同じ。2なら両親から2匹の子が大人になる(新たな両親になれる)ため個体数は横ばいを維持できる。

だいぶ話が逸れてしまったが外洋には実はあまり夢がないのだ。もっとも魚自体はスレていないため群れとかに当たれば大釣りができるはずだが、一般人がそんなEEZや公海みたいなところで釣りをする機会はそうそうないだろう。

以上で計4回に及んだ海と海洋生物に関するコラムを完結する。説明が長くなり過ぎずないようにしつつも分かりやすくと思って執筆したが、私の説明力不足と文才のなさ故に難解なところも多々あったと思う。そんな中読んでくださった方々に感謝致します。

<永井航/TSURINEWSライター>