厳寒期はそもそも風を避けられる釣り場が向いている。ましてや日並み次第で10枚前後も狙えるとあれば、人気が高まるのも頷ける。埼玉県川越市付近を流れる新河岸川放水路は、まさにそんな釣り場だろう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 棚網久)
新河岸川放水路のヘラ釣り場
新河岸川から分岐して渋井水門を介してビン沼へと注ぐ、総延長約1kmの放水路。
流れと水位変動
通常は同水門への通水はないので、流れはない。あるとすればビン沼最下流にある南畑排水機場の稼働、および増水などで同水門への通水が行われた時。では新河岸川放水路に流れはないのか?
これがじつに複雑で、風もなく穏やかなのに流れが発生したり、水位が増減したりする。とくに顕著なのが大風の日。南北の土手が高いので竿振りには影響せずとも、川面を走る風が時間の経過とともに流れを増幅させる。下流に流れたかと思うと、一瞬流れが弱まって次は上流へ。その時に水位変動が起こることもあれば、流れだけが発生することもある。
平穏時は止水域同様の釣りが可能でも、風次第でそれが強弱したり水位も変動する。つまり、底釣りを難しくさせる要素を多く含んだ釣り場と言えるだろう。水色は基本的にマッディー。水深は一部を除きほぼ1.2m前後。南北とも、水際は護岸化されている。
釣れるヘラのサイズ
アベレージは尺前後で、時どき尺2寸クラスが顔を見せる。釣果はいい人で5~10枚、平均すると2~3枚が圧倒的。残念ながら、オデコで終わってしまう人も少なくない。釣果は日並み(おもに風)に左右されるので、できれば穏やかな晴天に釣行するといい。
ヘラブナ釣りのポイント
次にヘラブナ釣りのポイントを紹介。
冬期は北岸が人気
ほぼ東西に流れる川なので、この時期は季節風を背にしやすい北岸の人気が高い。ただし北風だとしても、風自体は川なりに吹いてしまうことも多い。つまり風を背にしたつもりで北岸に入釣しても、結局は横風をくらってしまうことも少なくない。
南岸のメリット
ウキの見やすさだけで言えば南岸が有利。しかも北岸ほど混雑しないので北風(北西風)であっても、あえて南岸に入釣する人もいる。ただし高い土手が日陰になるので寒い。逆に強風時でも日差しが出ていれば、北岸はポカポカ陽気だ。
近年、土手への駐車規制が厳しくなった。そのため、駐車しやすいエリア付近の人気が高い。
例を挙げると金子街道橋~上手橋の北岸、東大久保橋~立堀橋の北岸、立堀橋北側上流土手下の駐車場など。そのほかにも数台程度なら止められるポイントもある。
つまり釣り人が多い所=駐車がしやすいエリアの図式となり、駐車が不便なエリア=人気薄となる。人災を避けるなら空いているほうがいいが、エサ打ちがされていない理由で人気ポイントよりもアタリが少ない可能性も否定できない。荷物カートなどを車載しておき、離れたポイントにも移動しやすくしておくといいだろう。
底釣りタックル
暖期なら宙釣りでも狙える同川だが、今の時期はバランスの底釣りがメイン。流れが緩ければ段差の底釣りも面白い。
竿
竿は10~14尺。傾向として混雑しやすい北岸は竿が長めで、空いている南岸は短めが目立つ。北岸は13尺竿以上を振ると、対岸の土手が陰になってウキが見やすくなる。
ウキの見やすさでポイントを選びたいなら、南岸がベターだ。水位の増減が起こりやすいので、微妙な変化でも察知しやすいように、釣り台の脚などにあらかじめテープでマーキングをしておくといいだろう。流れが出てからではウキがシモって、正確な底ダテが出来なくなる。流れがなく水面も静かな朝のうちに正確な底ダテをして、その後はマーキングを基準にタナを微調整するといいだろう。
仕掛け・ハリ
水深が浅くて流れも出やすいので、仕掛けはオーソドックスなものがいい。管理池でよく見かける長ハリスの底釣りなどは、ここでは効きづらい。
また大バリも禁物。例にするなら、リフト5号を最大サイズとしたい。加えてハリス(道糸)も細めを選択すればベスト。常連のなかにはこの時期、ハリス0・2号の人もいるほどだ。
では、なぜ細め&軽めがいいのか。答えは明白、魚がエサ慣れしているからだ。また流れに対しても、ラインは細めのほうが有利に働く。ただし細仕掛けだと、ラインブレイクの危険性が増す。
これを補うには、竿の軟らかさで対処するしかない。日並みにいい人でも最高釣果が10枚前後な今の時期ならば、あえて軟調子の竿を選んで細仕掛けで魚とのやりとりをじっくり楽しむ。
長竿不要の釣り場であるなら、あえてそういう釣り方で遊ぶのも、この時期ならではの楽しみ方ではないだろうか。
釣り場情報
●入釣料…¥400(現場徴収)。
釣り台必携
●アクセス…首都高速さいたま大宮線与野IC~国道17(新大宮バイパスを上尾方面へ。
三橋2丁目信号を左折し東大久保信号を右折で東大久保橋
●問い合わせ…ビン沼釣具TEL049(253)1489番
<週刊へらニュース 棚網久/TSURINEWS編>
新河岸川放水路