大阪湾には手軽に渡提できて四季折々の釣りを楽しむことができる沖一文字が多数存在する。その中から今回は、阪神間にある「武庫川一文字」を紹介。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)
沖堤防「武庫川一文字」とは?
沖堤防というと少しハードルが高い、上級者向けの釣り場というイメージを一般的には持たれていると思うが、安全面への配慮などある程度の自己管理ができれば、初心者もファミリーも渡って楽しめるのが、「ムコイチ」の名で知られる阪神間随一の超メジャー沖堤防・武庫川一文字だ。
ここは渡船店の熱意と努力によって、トイレ付きの大型船による輸送、梯子などの設置、また渡船店の中にはスタッフが波止に渡っての巡回や、エサや飲み物、カップ麺などの船上販売など、至れり尽くせりのサービスが施されており、まるで海上に浮かぶ釣り広場かのような運営が行われている。
渡船
このエリアの沖堤防は略図のようになっており、武庫川一文字、尼崎フェニックス新波止、鳴尾導流提(※渡船不定期)の計3か所が渡船利用の釣り場として挙げられる。尼崎フェニックスと鳴尾導流提は渡している渡船が決まっているが、武庫川一文字へは、以下の3店舗全てが渡している。場所、利用方法、釣果情報は、各店のホームペーシを確認してほしい。
・久保渡船=尼崎フェニックス新波止、武庫川一文字:船着き場1番
・武庫川渡船=武庫川一文字:船着き場2番~6番
・西野渡船=武庫川一文字:船着き場7番~9番、鳴尾導流提(※要問合せ)
なお、渡船利用時には救命胴衣の装着が義務付けられているほか、安全面やスムーズな乗降の点で、船長やスタッフの指示には必ず従ってほしい。また時節柄、新型コロナウイルス感染防止対策として、マスクの着用や釣り人同士のいわゆる三密行為の抑制を強く要請されていることにも理解が必要だ。
近辺の主な釣り具・エサ店
各店とも常設店舗を構えて営業しており、アミエビやオキアミなどの冷凍エサや氷、簡単な釣具などは店で販売している。もっと手広い品揃えを求める場合は、近辺の釣具・エサ店を利用するといい。次の2店はともに、沖波止と近辺の釣り場の事情に精通している。
・フィッシングマックス武庫川店
・尼エサ
武庫川一文字の特徴
では、次に武庫川一文字の特徴を紹介しよう。
武庫川一文字は正式名称を西宮防波堤といい、武庫川河口の沖合にある全長4.433mの長大な防波堤で、尼崎西宮芦屋港の護岸と作業船の係留施設としての役割を担っている。
阪神・淡路大震災で波止全体が沈下し、沖向き(南向き)に嵩上げ工事が施された結果、沖向きは幅1mで海面からの高低差が5mあまり、内向き(北向き)は幅4mで海面からの高低差が約1mという両極端な形状になっている。このため、沖向きは各所に取り付けられた梯子で上り、タモの柄は6m以上、もしくは落としダモが必要となる。
安全面では足場の悪い沖向きは中・上級者向けだが、内向きは足場がよく初心者・ファミリー層からあらゆる層が楽しめる釣り場といえる。四季の釣り物を挙げてみると、次のようになる。
四季のターゲット
次にターゲット(釣りモノ)について紹介する。
春
春はフカセ釣りでのチヌとルアーやエビまきのシーバス(ハネ)、梅雨の時期は落とし込み釣りでのチヌとタコジグ、タコエギで探り歩くタコ釣りが軸となり、梅雨まではシラサエビや魚の切り身などをエサにしたガシラなどの根魚狙いが脇を固める。また、ここ2、3年は突発的に青物や大サバ、中アジの回遊が見られ、一報が釣果情報に載れば多くのルアーマン達も駆けつける。
夏
梅雨が明けて夏を迎えると、日中はルアーマンたちがハマチ、ツバスに挑み、ファミリーフィッシングの王道のサビキ釣りで賑わいを見せる。一方、半夜釣りではアオイソメのエサでチヌ、ハネ狙いのコスリ釣りや、アオイソメやキビナゴのエサでのアナゴ釣り、シラサエビのエサでのアコウ釣りが楽しめる。
秋
秋になると、いよいよこのエリアの最盛期、タチウオのシーズンを迎える。さらに日中に青物が回ってくれば、波止の上は釣り人で溢れオーバーキャパとなり、渡船も送客打ち止めとなる日も出てくる。
冬
晩秋から冬にかけては、タチウオの名残りに挑戦しつつ、アイナメ、メバル、ガシラの根魚トリオに釣りモノはシフトする。このように釣り物は豊富だが、回遊魚が中心の釣り場ゆえに、釣果は魚の回遊状況に大きく左右される。また、雨の後は河口から流れ込む多量の濁った水の影響を受け、釣果が落ちやすい。従って、渡船店や近辺の釣具、エサ店のホームページの釣果情報をこまめにチェックして、釣況のいい時を逃さず釣行してほしい。