金沢大学がトラフグ寄生虫駆虫の技術を開発 お茶が高級魚養殖を救う?

金沢大学がトラフグ寄生虫駆虫の技術を開発 お茶が高級魚養殖を救う?

高級魚として名高い「トラフグ」。金沢大学がトラフグにつく寄生虫を「カテキン」を利用して取り除く技術開発に成功。研究背景などを能登海洋水産センターの松原教授に取材しました。

(アイキャッチ画像提供:photoAC)

アバター画像 TSURINEWS編集部

お役立ち その他

カテキンでトラフグの寄生虫駆虫

トラフグ養殖について研究をしている金沢大学の松原創教授が、お茶等に含まれることで有名な「カテキン」を使用し、トラフグの天敵となる寄生虫を駆虫する技術開発に成功しました。

肥満予防や抗酸化作用効果があることで知られるカテキンですが、魚の寄生虫駆虫に効果があるのはちょっと意外ですよね。

ちなみに、トラフグは2000円/kg以上の値が付く高級魚でもあります。石川県・能登町はフグの有名な産地ですが、そのほとんどがマフグやゴマフグ。新技術を用いることで、トラフグの効率的な養殖が進むことが期待されます。

金沢大学がトラフグ寄生虫駆虫の技術を開発 お茶が高級魚養殖を救う?カテキンが含まれるお茶(提供:photoAC)

取り組み(研究)の背景

ではなぜ、「カテキン」をテーマに寄生虫の駆虫について研究したのでしょうか。

これまで、エラに付くことで呼吸を妨げる「エラムシ」の駆虫が、トラフグ養殖の現場で問題視されてきました。以前はホルマリンを使用していましたが、環境に与える影響の大きさが問題視され、現在では医薬品医療機器等法(薬機法)により使用が禁止されています。

駆虫効果を持つ「カテキン」

そこで注目したのが「カテキン」。サケマス類の卵につく寄生虫を駆除する効果があるカテキンをトラフグが泳ぐ水槽に投与すると、同様にエラムシを駆虫する効果が認められました。エサにカテキンを混ぜても同様の効果が得られ、実用化に大きく前進することができました。

お茶由来の安心成分でもあることから、環境への負荷も最小限に抑えることできるのが、この技術の最大の特徴です。安全な方法が待たれていたなかで、カテキンによる新技術は大きな注目を集めそうです。

金沢大学がトラフグ寄生虫駆虫の技術を開発 お茶が高級魚養殖を救う?安全なトラフグ養殖技術を(提供:週刊つりニュース関東版東京・藤澤一弘)

今後の展望

なお、トラフグは日本各地で漁獲量が減少しており、能登も例外ではありません。松原教授は、「新技術は能登の『ブランドフグ』復活に役立てたい。技術を通して能登への恩返しになれば大変うれしいです。」と語ります。

「金大フグ」誕生の日はすぐそこまで迫っているようです。

取材協力:金沢大理工学域能登海洋水産センター 松原創 教授

<田口/TSURINEWS編集部>