6月といえば梅雨イサキ。沖釣り師に「梅雨といえば」と聞けば、即「イサキ!」と返ってくるほどの人気魚種である。釣りもちろん、この時期の食味はもう筆舌に尽くしがたいほどの美味。そんな梅雨イサキについて今回は解説してみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
梅雨イサキ釣りの魅力
さあ中部関西圏も入梅の候、ジメジメとうっとおしいばかりが梅雨ではない。釣り人にとっては梅雨イサキ、麦わらイサキのシーズンである。
実は伊勢湾界隈の遊漁船ではその釣期はそれほど長くなく、概ね6月から7月半ばまでである。一年中釣れないワケではないのだが、産卵期のこの時期は比較的浅場で大きな群れを作るので、数も伸びるしサイズもいい。
産卵期と食味の良し悪しがリンクしない、つまり腹に真子白子を持つと身はやせてしまう魚も多いが、イサキは違う。真子白子のおいしさは述べるまでもないが、身質も最高だ。ほどよく締まった身、皮目にまとった品の良い脂は刺し身は当然のこと、加熱しても存分にうま味を堪能できる。
アベレージサイズは25~35cmといったところだが、その中からポロリと交じる40cmオーバーを首尾よく釣果に加えることができれば、その日の夜の食卓はイサキのフルコースだ。特段にそろえる道具に特殊なものもないので、誰でも気軽にチャレンジできる釣り、船からのイサキ釣りを紹介していこう。
梅雨イサキのタックル&仕掛け
まずはタックルの準備だが、ロッドは2~3mまでのものでオモリ負荷は60~80号前後が望ましい。夏の速潮は想像以上にやっかいで、100号のオモリを使用するときもザラにある。なので調子もオモリを背負った状態でもしっかりコマセが振れるように、7対3調子辺りがベストだ。
基本的には手持ちで通す釣りなので、リールも持ち重りなくパワーのあるものが絶対だ。ミチイトはPEラインの2号前後を200m程度巻いておけば十分である。PEラインのロッドティップやテンビンへの絡みは破損や大きなタイムロスに直結するので、必ずショックリーダーとしてフロロカーボンラインの6~8号前後を最低でも5mは入れておく。
タックルが組み上がればあとは小物だけだが、釣り方はアミエビをコマセにしたテンビン吹き流しである。40cm前後の中型のテンビンを使用し、口切れ、ハリス切れ防止のために30cm程度のクッションゴムを付けておく。オモリは60号、80号が数個ずつあれば事足りるが、前述の通り潮周りによっては100号を指示されることもあるので念のために用意しておこう。
仕掛けは全長2~5m、ハリスは2号を中心とした3本バリ仕掛けが基本となるが、伊勢湾近郊では2m前後にまとめられたショート吹き流し仕掛けがよく使われるようだ。ピンクや緑のスキン仕様にケイムラ塗装、ヒラ打ちバリなどバリエーションは多彩であるが、最もヒット率の高い先バリだけはオキアミやイカ短が付けられるように空バリになっているものがオススメだ。
食いの立たない日、時間帯ほどコマセカゴに突っ込まずに遠いハリにだけ食ってくるので、ハリに施されたギミックにばかり気を取られることなく、仕掛けの長さにも気を配ってほしい。当日の釣り座や混み具合にもよるが、アタリが遠くなれば長めの仕掛けで、こぼれるアミエビを少し離れて拾っているイサキをイメージして狙っていくと、釣果に結びつくはずだ。
用意するタックルや小物類はこんなものだ。準備は容易に済ませられることと思うが、最後に1つ。イサキはオリーブ色に淡い黄色をまとった非常に美しい魚なのであるが、なぜか背ビレと尻ビレのトゲが非常に鋭い。
毒はないのだが、うっかりむんずと握ればシクシクと痛む。慣れればハリスを持ってぶら下げたイサキの頭から手を滑らせてつかめるのだが、揺れる船で失敗なくそれをやるのはなかなか難しい。最低でもタオル、できればトング状のフィッシュグリップを用意しておくと万全だ。