ユーは何しに日本へ?:カダヤシ編 侵略的外来種ワースト100に選定

ユーは何しに日本へ?:カダヤシ編 侵略的外来種ワースト100に選定

メダカにとても良く似たサカナ「カダヤシ」。可愛らしい見た目とは異なり、実は世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれているって知ってましたか?

(アイキャッチ画像提供:小宮春平)

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その他 サカナ研究所

メダカとカダヤシの見分け方

カダヤシとメダカは非常によく似ていますが、ポイントさえ押さえれば、しっかりと判別することが出来ます。姿かたち、色まで良く似ている両者の決定的な違いは、体の後ろ半分にある尻ビレと尾ビレにあります。

まず尻ビレについてですが、カダヤシの尻びれはメスは縦長で小さく、オスの尻ビレは交尾器も兼ねているため細長い形状をしています。それに対し、メダカの尻ビレはオス・メスともに横長で四角く台形のような形状をしています。

また、尾ビレについては形状は明確に異なり、カダヤシの尾ビレは丸みを帯びているのに対し、メダカの尾ビレは角ばった形状をしています。

その他にも全体的なシルエットで見たときに、丸くふっくらしているのがカダヤシ、細長くスラっとしているのがメダカですが、こちらは栄養状況によっても変わるので、各ヒレの形状で判断するのがいいでしょう。

ユーは何しに日本へ?:カダヤシ編 侵略的外来種ワースト100に選定メダカ(出典:PhotoAC)

メスだけでも繁殖できる理由

カダヤシは多くのサカナの産卵方法とは違い、卵胎生という繁殖方法を行います。

基本的に魚類の繁殖方法は決まって卵、つまり卵生になりますが、カダヤシは卵を産み落とすのではなく、親となるメスのお腹の中で卵をふ化させ、子供を産み落とします。繁殖期は長く、冬以外なら常に繁殖することが出来るうえ、一度に100匹以上、多い時には300匹も産卵することが出来ます。

これだけでもすさまじい繁殖力だとお分かりいただけると思いますが、他にもカダヤシのメスはすごい能力を持っています。

メスは交尾によって得た精子を蓄えることができ、何らかの形で違う環境に移されても1匹で新たに繁殖をすることが出来るのです。カダヤシが「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれるのも納得できますね。

カダヤシは特定外来生物

前述のとおり、カダヤシは特定外来生物に認定されており、飼育や放流が固く禁止されています。そのため、川遊びなどでメダカだと思って捕獲し飼育してしまうと、最悪の場合、懲役1年以下もしくは100万円以下の罰金の対象となってします。

さらに、捕まえて持ち帰ったサカナがカダヤシだと判り、近所の池に放流してしまうと、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金の対象になってしまいます。

もし万が一、カダヤシを捕まえて持ち帰ってしまった場合は、残酷ですが必ず殺処分するようにしてください。

「こんな小さなサカナでは何も変わらない」と、思う人もいるかもしれませんが、前述のようにカダヤシは適応能力が高いうえ、1匹でも繁殖することが出来ます。世界の数えきれない生き物の中でもワースト100に選ばれたその繁殖力を軽視してはいけません。

川遊びでサカナを持ち帰る際はヒレの形をしっかりと観察し、メダカだけを持ち帰るようにしてください。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>