近年、メジナ釣りは、ほぼオフがなくなった人気の高い釣りである。フカセ釣りの魅力は語ればきりがないが、メジナ釣りにおいて、釣果をアップさせる基本的な要点を3回に分けて紹介したい。第1回は「ハリの使い方について」だ。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・塩田哲雄)
フカセ釣りにおけるハリ
最初になぜハリから解説を始めるのかと思われる方もいると思う。ウキフカセ釣りのタックルを思い浮かべてほしい。磯竿、道糸を巻いたリール、ウキ、ハリス、ハリなどがある。
細かなツールは省いてもこれだけの道具で成り立っている。簡単な説明にはなるが、磯竿、リール、道糸、ハリスは狙う魚の大きさに合わせ、各道具のバランスを考えて組むことが多い。
ウキに関しては、狙うポイントや上記の道具とのバランスで大きさと浮力が決まってくる。そして、ハリは組んだタックルのバランスを考えて、使う号数と形状を決める。こうしてトータルバランスが決まったタックルをベースに、ウキフカセ釣りを展開することになる。
そこで考えてみると、各道具の中でハリはさしエサを魚に食わせる、唯一魚との接点という重要な役割があることに気付くはずだ。小さな道具ではあるが、このハリ選びを基に仕掛けを組み立てると言っても過言ではない。そして、大なり小なり釣果がかわることだってある。それだけ重要な道具だからこそ第1弾として取り上げた。
厳寒期の実釣例
以前、水温15度を切る厳寒期の伊豆の沖磯で、全くさしエサを食わない状況があった。ウキを小さくしたり、浮力を小さくしたり、ハリのサイズも下げたり上げたり、いろいろと試したが反応はなかった。
そこで、発想をかえて全く形状が異なる、自重が軽くて軸も短めのハリに結びかえてみた。仕掛けを回収するとさしエサがちょっとだけかじられた。
次の仕掛け投入で、少したるませた道糸をピンと張るわずかなアタリが出た。軽く竿先で聞きアワセてハリに掛けることができた。
厳寒期だからメジナのタナは深いと決めつけ、自重のあるタイプのハリを使用していたのが間違いであった。エサ取りもほとんどいない状況で、メジナは住みかから、あまり出てこない。
ここはセオリー通りにではなく、その時の状況を見て、メジナはエサをどう食べているのか。どうすればメジナに違和感なくさしエサを食わせることができるか・・・を考えていれば、もう少し早く結果が見られていたのに・・・と後になって反省した経験であった。
ハリの種類が多い理由
メジナ釣り用には、どのような種類のハリがあるのかを説明しよう。単純にメジナ釣りのハリと言っても非常に多くの種類が釣具店のハリ売り場に並んでいる。
見てみると、形状は軸の太いもの細いもの、フトコロが広くなっているもの狭いものがある。色も釣り場の潮の色に合わせて、魚に気付かれ難い効果をうたった茶色や黒色、さしエサのオキアミに合わせたオキアミカラーや使用するコマセの色と同化して見え難くしたカモフラージュレッドなど多種多様にある。
選ぶのに迷ってしまう。どうしてこんなにいろいろな種類のハリがあるのだろう。それは、最初に解説したように、ハリが「魚との唯一の接点」という重要な役割があるからだ。
魚釣りは自然が相手である。海が静かなときもあれば、風が吹いたりウネリがあったりして波が大きいときもある。また、エサ取りが多くてさしエサをメジナの口まで届け難い時だってある。
そういったいろいろな状況下で使うハリだから、どんな状況下でもメジナに口を使わせやすい形状や重量などが考えられ、多くの種類が出ているのだ。それぞれのハリの特性を知って釣果アップに利用しない手はない。