ホタルイカの水揚げが有名な富山湾では春先になると、誰でもこの小さな美味しいイカを捕まえることができます。捕まえ方のコツと、注意点を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:野食ハンマープライス)
ホタルイカの持ち帰り方
捕まえたてのホタルイカは活きが良く元気に動いていますが、バケツに入れているとすぐに死んでしまいます。野締め(バケツの中で死んでしまったもの)は非常に腐敗しやすいので、美味しく食べるならこまめにクーラーボックスにしまい、氷温で締めることが大切になります。
このとき、氷に直接ホタルイカが当たらないよう、ビニール袋に入れて冷やすようにしてください。その日のうちに新幹線に乗れば、東京に戻ってもまだしゃぶしゃぶが楽しめるくらいの鮮度を保っています。
しゃぶしゃぶがオススメ
新鮮なホタルイカはどのような料理でも非常に美味しいのですが、とくにおすすめなのはしゃぶしゃぶ。とろけるように濃厚な肝の味が楽しめます。鮮度が落ちたホタルイカをしゃぶしゃぶにしても、キモが破裂して味わいが半減してしまうので、自分で掬った人だけが楽しめる味覚です。
ただ、ホタルイカには旋尾線虫という危険な寄生虫がいることがあるので、しゃぶしゃぶといえどもしっかりと中まで加熱して食べるようにしてください。
ホタルイカに舌鼓を打ちたいのは人間だけでなく、魚も同様。ホタルイカが接岸するときは魚たちの活性も上がり、魚釣りにもよいタイミングとなります。打ち上げられて砂を噛んでしまったホタルイカを餌にすると、カサゴやキジハタ、メバル、ヒラメ、マゴチ、カレイなど様々な高級魚をゲットすることができるでしょう。
ホタルイカ掬いのマナーが問題になっている
さて、近年このホタルイカ掬いの人気上昇に伴い、現地ではマナーの問題が取り沙汰されるようになっています。ホタルイカが接岸する海岸は閑静な港町なのですが、そこに連夜大量の人が押し寄せるため、様々なトラブルが発生しているのです。
とくに問題になっているのは駐車に関すること。住宅街の路地への路上駐車や、漁港の関係者専用駐車場への勝手な駐車が横行し、取り締まりも頻繁に行われるようになっています。
また、夜のアクティビティであるため騒音も問題になっており、人々の話し声や車のドアを閉める音にも、地元住民からの苦情の声が寄せられているそうです。
その他、ゴミの問題や立ち入り禁止場所への侵入など、いずれも年々ひどくなっており、このままではホタルイカ掬いに対してなにかの規制がかけられてしまうようなこともありうるかもしれません。
ホタルイカ掬いを続けていくために
今後もこの楽しいレクリエーションを続けていくために、ひとりひとりのマナーの向上が求められています。路上駐車はせず、決められた駐車場に停めることや、大騒ぎをしない、立ち入り禁止場所に入らない、といった当然のマナーを守ることが最低限必要です。
漁港施設内でホタルイカを探す人も多くなっていますが、現地の漁港は立入禁止になっている場所も多く、基本的には入るべきではありません。砂浜海岸で立ち込んで探すほうが迷惑にもならず、探す楽しさも増すのでおすすめです。
富山湾でしかできない最高の遊び「ホタルイカ掬い」。今後も末永く続けていけるよう、マナーを守って楽しみましょう。
取材協力:上州屋富山千代田店
<脇本 哲朗/サカナ研究所>