メダカ養殖の強い味方『グリーンウォーター』を解説 見た目は汚水?

メダカ養殖の強い味方『グリーンウォーター』を解説 見た目は汚水?

最近、密かにブームになりつつあるメダカの養殖。そこで使われる『グリーンウォーター』をご存じですか?見た目は汚い水だけど、実は魔法の水だとか?

(アイキャッチ画像出典:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

魔法の緑の水

最近、少しずつブームの匂いがしている『メダカの養殖』。きれいなメダカをたくさん繁殖させて、一攫千金!と一念発起する人が増えているようです。

養殖するには安定的な飼育環境の整備がマストです。そこで活躍するのが、『グリーンウォーター』。魔法の緑の水らしいけど、見た目は汚い水・・。

でも、この水さえあれば、安定してメダカを飼育できるのだとか。

グリーンウォーターとは

皆さんは池や湖の水が緑色になっているのを見たことはありませんか?簡単に言うとあの水のことをグリーンウォーターやアオコと言います。

グリーンウォーターとは植物プランクトンが水中に大量発生し、緑色になった水のことを指し、青水などと呼ばれることもあります。

厳密に言うと、浮遊性の珪藻(けいそう)類を中心に繁殖している緑色がかった水をグリーンウォーターと呼び、微細藻類(主に浮遊性藍藻)が大発生し水面を覆い尽くしている水をアオコと呼びます

前者がメダカにとってメリットが大きい魔法の水なのに対して、後者は、水面を浮遊性藍藻などが多い尽くしているため、植物性プランクトンが光合成をできず、あまり良い状態とは言えません。何よりも後者は悪臭が漂うだけでなく、藍藻そのものの持つ毒素のせいで、魚やエビが死滅する直接的な害がある場合もあります。

どちらもあまりきれいには見えませんが、実は前者の「グリーンウォーター」は自然界にもごくごく当たり前に存在する魔法の水なのです。

メダカ養殖の強い味方『グリーンウォーター』を解説 見た目は汚水?グリーンウォーター(出典:PhotoAC)

どのような効果があるのか

メダカをグリーンウォーター下で飼育するメリットは大きく3つあります。

1.有害物質の分解

グリーンウォーターには前出の通り、植物性プランクトンが大量発生しています。

魚の飼育において排泄物に含まれる硝酸塩やリン酸塩は常に付きまわる問題ですが、グリーンウォーターを用いれば、有害物質を栄養として植物プランクトンが吸収し、無害化してくれる効果があります。

一般的な魚の飼育であれば、ろ過装置を購入し、人為的に有害物質を吸着させますが、このグリーンウォーターを用いることで、そのコストを削減することができます。

2.酸素の供給

グリーンウォーターには前述の通り、大量の植物プランクトンが繁殖しています。

簡単に説明すると、植物は光合成により日光と二酸化炭素から酸素とエネルギーを作り出します。植物プランクトンの光合成によってメダカ飼育に必要不可欠な酸素が生み出されます。

3.メダカの食料になる

メダカは雑食性ですが、自然界では主にプランクトンを食べています。

例えば動物プランクトンだとミジンコやボウフラ、植物プランクトンだとケイソウなどがこの対象になります。

グリーンウォーターを通し、メダカを頂点とした食物ピラミッドが出来上がります。植物プランクトンが発生→これを動物プランクトンが食べる→さらにそれをメダカが食べる→その排泄物をもとに植物プランクトンが繁殖→最初に戻る

このサイクルが安定することで人為的にメダカに特別な餌を与えなくても、餓死をすることほとんどなくなります。

メダカ養殖の強い味方『グリーンウォーター』を解説 見た目は汚水?メダカ(出典:PhotoAC)

デメリット

グリーンウォーターを使う上で、デメリットは存在します。

水の中の様子がわかりにくい

水が緑色をしているので、水中の変化に気づき難くなります。

例えば屋外で飼育している場合、水生昆虫が飛来していても気づかず、稚魚が食べられてしまったり、病気が蔓延していても、死魚が沈んでいて発見できずに手遅れになってしまう可能性があります。

このような事例は中々起きませんが、様子がわかりにくいということは、それだけでリスクであるとも言えます。

貧酸素になってしまうかも

植物は日中は光合成と呼吸の両方を行っています。

しかし、天気が悪い日や日光があまり当たらない状況が続くと、水中の酸素だけが消費されるようになってしまい、メダカが酸欠になってしまいます。

グリーンウォーターの濃度が濃すぎる場合にこのような事例がまれに起こるので、定期的に水換えをしてあげましょう。

次のページでグリーンウォーターの簡単な作り方を紹介