日本海のマイカが好調ですね。イカの中でも特においしいマイカだから、これを嫌いだという人は少ないと思います。今回は福井県小浜の船長から教えていただいたおいしいイカ卵黄のレシピを紹介いたします。
(アイキャッチ画像提供:今井浩次)
イカの本当においしい部位
今から十数年も昔のことですが、福井県の小浜へイカ釣りに出かけたときのことです。船長は本職のイカ漁師だったのですが、彼に言わせると「イカで~え、ここが一番おいしいのに、知らん人が多いんやね~え」(若狭弁の特徴は語尾を伸ばすのですが、文字で表すのは難しいです)。
その時、釣りの合間にイカをさばいてくれたのですが、ひょいと差し出された一片の身はやけに白くて柔らかそうでした。
一瞬どこの部位だろうと考えたのですが、とにかくおいしいから食べてみろと顔で促されてワサビ醤油にちょっぴりひたし、僕は口に入れてみたのです。
ふむ。最初に噛みしめた時、歯触りが非常に優しいと思えたのですが、それは身の表面だけのことで、芯はしっかり歯応えがあるし、噛みしめている間に身の甘さが際だってくるのが快感でした。
これはイカの脚の付け根辺りの身だなと見当をつけていたのでたずねてみたら、足の付け根というよりイカの水管から内臓の下部を包む身だというのです。この身を食わずして本当のイカ食いというなかれ、と思い知らされたのでした。
イカ卵黄の材料
おいしいイカ卵黄の作り方も教えていただいたので、まずは材料からご紹介。
・新鮮なイカ(今回はマイカを使用)
・卵黄
・すりおろし生姜 適量
・すりおろしわさび お好みで
・醤油またはめんつゆ 適量
イカの下処理
先ず、内蔵を取り出す下処理。ここでワタや墨袋をわらないワンポイントは、包丁で胴を開くこと。
イカの造りやイカそうめんにする時は、手で内臓を取り出さずに包丁で胴を開いた方が早くてきれいにさばけます。
イカの耳がまな板に密着する側を下にして、胴の中央から包丁を入れ、耳の先端まで切り裂いていきます。こうしておいてから触腕をつかんで内臓といっしょに取り出すと、間違ってもスミ袋をつぶす心配がありません。
イカの皮の引き方
あとは菱形の耳をつかんで、付け根辺りからゆっくり皮を引っぱりながら表皮をはがすと、半透明の身が現れてきます。身の裏側の薄皮はふきんを使ってしごき取るように剥がします。
イカ卵黄の作り方
美味しいイカ卵黄まではあと一歩。
イカを細切りにする
なかば透き通った純白のマイカの身ができ上がったところで、本題であるおいしいイカそうめんの作り方を紹介していきましょう。
薄皮を取り終わったイカの身をまな板の上に広げたら、そのまま輪切りにしてはいけません。輪切りにすると歯応えが悪くなるからです。
どれぐらいの長さのイカそうめんにするかを決め、その幅に切り分けてから、今度は身を細く縦切りにしていくのです。
ですから小型のイカの場合は、胴の中央から真っ二つに切り、それを縦切りにするのです。
卵黄を落とす
こうして幅4、5mmの細くて長いイト造りが完成したら、それを小鉢やお茶碗にあけ、中央に少しくぼみを作って卵黄を落とします。
味つけ
あとはおろしショウガやワサビを添え、醤油をぶっかけてよく混ぜながら豪快にすするのがイカそうめんの醍醐味ですが、この時に醤油だと味が濃くなり過ぎると感じる場合があります。
船長がおすすめする胃に優しい味つは、麺つゆを使います。麺つゆだとタップリかけてもしょう油ほど味が濃くならないので、いくらでも食べられるようになります。
思いきりイカ卵黄をすすってみたい、と思う人はぜひお試し下さい。
イカの身の甘味と卵黄の旨みを麺つゆが上手に包み込んでくれる、そんな料理に変身しますよ。
<週刊つりニュース関西版 今井浩次 /TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関西版』2019年1月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。