シロイカ、アカイカ、マイカと地方名豊かな人気者ケンサキイカ。神経質なところもあるが、このイカは食欲旺盛で好奇心も強い。うまく捕食本能を刺激すれば、確実に数を伸ばすことができる。今回は、アクアウェーブから発売中のイカの本能を直撃するエギ「カドル」を、理論とその実績とともに紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
イカの感覚器官と捕食の関係
具体的な釣り方の話の前に、まず彼らの捕食行動と関連した感覚器官の特徴に少し触れたい。
水中波動の感知法
イカは魚のような側線(水中の振動を感知する器官)や耳石を持たないため、波動や音を感知できないという人もいる。しかし、イカには平衡感覚を司るスタトシストという器官があり、これによって水流の変化を捉えている。
この器官が波動や音を感知する役割を果たし、側線や耳石の代わりとなっているのだ。したがって、魚類と同様に、まず水中で波動の変化を察知してベイトの群れに接近し、目視により確認してから捕食行動に移ると考えられる。
主力は視覚
ケンサキイカをはじめとするツツイカ類は、大きな目を持っている。眼球内のレンズが大きければ、暗い水中でも多くの光を捉えて視界を確保できるからだ。イカは側線を持たない代わりに、より優れた視覚で情報を得る進化を遂げた生物である。
また、視覚への依存度の高さを示す例として、ケンサキイカは普段は白く半透明の体が、興奮時には真っ赤に変色することが挙げられる。これは、仲間に危機や餌の存在を知らせるためのコミュニケーション手段とされている。
以上から、ケンサキイカも魚類と同様に、波動による遠距離感知、視覚による捕捉を経てベイトを襲うという捕食プロセスを持っていると推察される。
イカの大きな目には理由がある(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)効果的なアプローチ
ケンサキイカへのアプローチは、段階的に行うことが効果的。時間帯と状況の進行によって、以下のように攻め方を変化させていく。
夕マヅメ
集魚灯の効果が現れる前の時間帯では、そのポイントに元々いたイカを拾い釣ることになる。このときはイカが底付近に散在しているため、次のような方法が有効だ。
・底層付近を横方向の軌道で広く探る(キャスト+オモリグが有効)
・アピール力の強いエギを使用し、イカを呼び寄せる
・スイッチの入る前の少数の高活性個体に、とにかくエギを見せつける
これが夕マヅメにスコアを伸ばすための鉄則である。
夕マヅメはハイアピールカラーで(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)中間の時間帯
時合に入ると船全体で釣れ出す。船内で情報共有が進むと、皆が同じタイプのエギやスッテを使い始めることもよくある。ニュートラルな群れがどんどん入ってくる状況では当日の当たりエギで通用するが、同じ群れを何度も船で叩くような状況では、イカがスレていく。
このとき最もシンプルで効果的な方法が、エギやスッテの特性やカラーを変更してイカの警戒心をリセットし、「触ってみたい」という好奇心を刺激すること。
こうすることで、アプローチからアタックまでのタイムロスを減らせる上、スレさせずにイカの積極的なアタリ、つまり掛けやすいアタリを引き出すことができる。特に盛夏に増える若い個体は、警戒心よりも好奇心が勝るため、この方法が有効だ。
カラーの数だけ引き出しも増える(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)また、特定のタナが固定化してくると、船内のアングラーはタナ追いに集中し、バーチカルな攻めに偏ることがある。
そんなときは、あえて真下を外し、キャストして集魚灯による明暗の境目の中層をカーブフォールなどで攻めるのが効果的。競合率の高いスポットでスレたイカを狙うより、少し離れた場所のニュートラルな個体を効率よく拾うのも作戦だ。
横方向の攻めならオモリグ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)

