船での落ちハゼ釣りの魅力は、手軽に始められることと、繊細なアタリを楽しめる点にある。温暖な汽水域に生息するハゼは関東の東京湾沿岸で多く釣れ、秋から初冬のシーズンには乗合船も多く出船するため、初心者にもハードルが低い。伝統の江戸和竿を使った手バネや、リール付きの小物竿といったタックルから選び、ハゼのサイズに応じてハリやオモリを調整するなど基本を押さえれば、誰でも楽しめる。この記事では、タックルの選び方から釣り方のコツまで基本をわかりやすく解説する。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・木津光永)
落ちハゼ釣りの出船エリア
ハゼは温暖な汽水域に多く生息している。関東圏の釣り場は、千葉・利根川河口部から房総半島を一周して東京湾奥、神奈川県沿岸部となるが、乗合船を出している港は限られ、本紙の協定船宿一覧の東京湾エリアから探すのが早い。
多くの乗合船は、秋~初冬(12月)限定出船となり、そのほかの季節は仕立船が中心だ。
タックルについて
タックルは、大きく分けて2種類ある。
・手バネと呼ばれる中通しの江戸和竿。
・リール装着の船用小物竿(キス用で代用可)。最近は後者が多い。
リールは小型の両軸、またはスピニングでも好みでOK。このリールに巻くミチイトはPE1号前後。あまり細すぎると、トラブルがあった時の処置に苦労する。
仕掛けは図のような天ビン仕掛けや、胴突き仕掛けがあり、一般市販されているハゼ天ビンにハリス付きのハゼバリを結ぶのが手軽。
ハリの号数は、その時期に釣れているハゼのサイズを基に選択する。これからの時期は、良型が多くなるので、食い込みのいい袖6号前後やハゼ7~8号クラス。
私は大きな手の不器用さをカバーしてくれるハゼ鈎8号を愛用。17~20cmの特大級は大きなエサを求めるので、そのようなエサの装着には適したサイズを選ぶことが重要になる。
オモリは水深5~8mに合わせて5~8号を用意。釣行前、船宿に確認しておくといい。
船ハゼの釣り方
エサは船宿支給の青イソメが一般的。シーズン初期の小型が多い時期は、エサを長さ3cm程度に切って使うように指示されることが多い。これからのシーズン後期は、越冬前の特大サイズ(ケタハゼ)が対象となるので、4~5cmに切ったものを2~3匹房掛けにしてアピールすると効果的。
天ビン仕掛けの2本バリを使う場合は、頭のほうから4対6くらいにカット。枝バリに頭のほうを、先バリに尾側の細いほうを用いると仕掛けトラブルが少ない。
エサの切り口からハリ先を入れ、ハリ軸に沿ってまっすぐに通し刺しにする。
仕掛けの投入は船下へ落とすのが基本で、江戸前の伝統ハゼ釣りの風情を重んじる船宿では仕掛けを投げることを禁じているケースもある。
アタリの合わせ方
アタリは、グングン、ググッという明確な場合が多く、小型やダボハゼなどはピンピンとエサを食いちぎるような感触。最初のアタリから7、8秒待っても掛からないものは後者と判断、仕掛けを回収する。
アワセのタイミングは装着したエサの大きさ、アタリの強さで判断するが、軽く素早いアワセを入れてハリ掛けを意識する。ギュンギュンという手応えがあれば魚が掛かった証拠。手応えがなければ、仕掛けを同じ場所に沈めて再シグナルを待とう。
魚が掛かったら竿を立てて、魚を振り子のように自分の手元にこさせる。リールを使う人は巻き過ぎないようにするのが手返しのコツだ。
<週刊つりニュース関東版APC・木津光永/TSURINEWS編>