北海道のデパートで購入したのは、一枚1,000円もする超高級な海苔。いったいどんな海苔なのでしょうか?
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
函館のデパ地下でゲットした「松前岩海苔」
先日、北海道の函館に出張で行く機会があったのですが、その際に買い物のために立ち寄ったデパ地下の食品売り場で、非常に興味深い商品を見つけました。
その商品とは「松前岩海苔」。特設コーナーまで組まれて発売されていたそれは、非常にシンプルな、正直にいうというとチープにも見えるパッケージで陳列されていました。
しかし驚くことに、その海苔はひとパック5,000円弱という高値で販売されていたのです。5枚入りということなので1枚あたり1,000円ほどとなります。
いったいどんな海苔なのか
松前岩海苔について調べてみると、北海道南部の松前町周辺で作られているものだとわかりました。
荒波砕ける日本海に面した松前町では、冬になると磯の波打ち際にイワノリの仲間が発生します。このイワノリ類を採取して板海苔に加工したのが松前岩海苔です。
イワノリ類は栽培されておらず基本的には天然もの、しかも通常の板海苔に使われるアマノリ類と異なり、波の荒い場所にしか発生しません。それを丁寧に手で摘み、手作業で刻んで漉いて天日干しにすることで松前岩海苔は完成します。
その手間や採取しづらさから生産量は年1,500枚程度と極めて少なく、その希少性ゆえにこの値段になっているのです。
その味は?
そんな松前岩海苔、実際に購入して食べてみました。
持ってみると、1枚の重さが通常の板海苔3枚分くらいあり、明らかに厚みがあり、手触りがゴワゴワします。これをさっと炙った瞬間、キッチンが香ばしい磯の香りに包まれました。
現地では、炙った松前岩海苔に醤油をまぶし、それを白いご飯の間に挟んで重ねた「岩海苔だんだん」という料理で食べられているそうです。自分も作ってみたのですが、醤油と合わさった岩海苔は旨味の塊で、ご飯の熱で蒸らされてより風味が濃厚になり、口に入れるとえもいわれぬ味わいでした。
その希少性とこの味を考えれば、この価格は全く高いとは思わなくなります。来年も手に入れて食べたいと素直に思える味でした。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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