一般的に、冬は投げキス釣りのオフシーズンと言われている。しかし、全く釣れないわけではない。初冬から早春にかけての投げキス釣りについて紹介してみよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)
魚の釣期とフィッシングショー
シーズンオフに、アングラーの皆様はどのようにフィッシングライフを楽しんでおられるだろうか。竿やリールのメン
テナンス、仕掛け作り、また、キャスターの中には竿とリール、オモリだけでキャスティング練習をする方もおられる。
特に2~3月は、海水温が最も低くなる時期なので、投げ釣りやチョイ投げはこの時期がシーズンオフになるし、船釣りでも釣り物が限られる。川釣りでも同様である。
アングラーのためのお祭りであるフィッシングショーが、2月上旬に開催されるのは、このような釣りの暦と決して無関係ではない。私も毎年フィッシングショーを楽しみにしているのだが、今年は機会を逸してしまった。ジャンルを超えて釣り具や釣り関連産業のショーが開催されるというのは、とても貴重なことであると思うし、竿やリールをじかに手に取って見られるというハード面での情報入手とともに、会場で思いがけず釣友に出会ったりとソフト面での楽しさもある。
時代の流れとともにその内容は変化してゆくと思うが、長く続いてほしいと願うのはアングラーや釣りビジネスにかかわるすべての方の思いではないだろうか。来年は是非足を運んでみたいと思っている。
初冬から早春のキス釣り
冬場は一般的にキスはオフシーズンである。しかし冬場と言っても、11月下旬から3月初・中旬とほぼ4か月近くに
及び、初冬と早春では海の様子が大きく異なるので、ひとくくりで考えることはできない。水温を一つの手がかりとして、冬場を大きく3つに分けて捉えてみることにする。
晩秋から12月中旬位までの時期
近年は水温が高めに推移することが多いということもあるが、この時期、近畿南部の太平洋岸や四国の東南部、神奈川西部から静岡県にかけてのように黒潮の影響を受ける暖地では、まだ水温が16~17℃を保っているところも多い。
さすがに夏場のように波口で釣れ盛るようなことは少ないが、それでも浅場のニアポイントにかなりキスはいるし、漁港内の砂泥底などでもチョイ投げで充分チャンスがある。簡単に言えば、冬場の中では最もキスを狙いやすい時期であり、うまくいけば落ちギスに遭遇できるチャンスもある。
12月中旬から2月初頭位までの時期
年末年始は充分キスを狙える時期である。ただ晩秋から年内に比べると、ややポイントが絞られてくる。晩秋から初冬の時期のように浅場にはキスは少なくなり、その周辺でやや水深のある場所や、大きな川の河口部でも日当たりが良くて常に風裏になる場所などに集まってくるのではないかと思われる。
この時期は水温が低下してゆく時期なので、キスの魚信そのものも少なくなってくるが良い日並みと潮回りに恵まれれば、2ケタ釣果もまだ充分可能な時期である。1月6日、年末と同じポイント(紀ノ川河口)で午後から夕方までの釣りで、小型中心であったがキス20匹の釣果を得た。ただし高水温期に比べると魚信はかなり弱めで吸い込みも低下しているので、キスを驚かさない様に静かに釣ることが必要になると思う。2月に入るとキスの数はぐっと少なくなる。
2月から3月下旬の時期
梅が満開になり、気の早いサクラもちらほらほころび始める時期であるが、海の中は真冬の状態、1年で水温が最も低くなる時期であり、魚の動きも鈍くなる。あえて言えばこの時期でまだ狙いやすいのは2月中旬位までで、その後は最高気温が上がって日増しに暖かくなるのに、魚の動きは逆に少なくなるような感じである。
3月下旬になると、水温の高い海域で、シモリ周りの砂泥底や水深のある漁港のミオ筋などで、少しずつキスの魚信が見られるようになる。なかなか食い込まず手こずらされるのもこの時期であるが、釣れれば大型とはいかないまでもピンギスは少ない。それだけに、数は数匹でも、キスを手にした時の喜びは大きなものがある。