富士五湖の1つである山梨県の西湖で、春のヒメマスシーズンが開幕した。ここでは最もおいしい淡水魚とも言われるヒメマスについて、同湖でのポイントや釣り方を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
西湖で春のヒメマスシーズン開幕
富士五湖の1つである山梨県の西湖。同湖の釣りの対象魚は、ブラックバス、ヘラブナ、そして若様と姫様である。若様とはワカサギ、姫様とはヒメマスである。
ヒメマスはベニザケの湖沼残留型で、国内の淡水魚のなかでもっとも美味い魚の1つとされている。同魚の国内原産地は、北海道の阿寒湖とチミケップ湖とされている。
日本での移植は明治27年に阿寒湖から支笏湖への移入が最初で、その後、支笏湖から栃木県中禅寺湖、神奈川県芦ノ湖、山梨県西湖、本栖湖、長野県青木湖などへ移入されて生息している。
また、西湖では秋田県田沢湖の固有種である絶滅したとされたクニマスが再発見された湖としても一躍脚光を浴びた。クニマスはヒメマスの亜種とされる魚で、婚姻色の出た個体を除けばヒメマスと見た目は変わらない。これらにより、同湖ではヒメマスとクニマスは最重要な魚種として、人工繁殖が行われ放流にも力を入れている。
ヒメマスの釣り方
同湖のワカサギ、ヒメマスは、3月20日~5月31日の春シーズンと、10月1日~12月31日の秋シーズンの年2回解禁されヒメマスを狙うなら、エサ釣りかヒメトロと呼ばれるトローリング。
エサ釣りの場合、アジ用4~5号のサビキ仕掛けにイクラや紅サシをエサにするほか、ウイリーなどを巻いたサビキ仕掛けを用いる。
タナ取りが重要
ヒメマス釣りでもっとも重要なのがタナ取り。そのためには魚探は必須。
平均的なヒメマスのタナは15~25mだが、自ゴールデンウイーク前後には水面下3~5mの浅場を回遊することもある。このため、ミチイトは1mごとに長さがマーキングされたPEラインをお勧めする。
湖畔にあるボート店でボートを借りて漕ぎ出そう。西湖は水深が深いので、アンカーは積まれていない。実績のあるポイントにブイが浮いているので、それにボートを係留して釣りをする。魚探を見ながら、反応のあった場所の近くにあるブイに係留すればいい。
取り回しがいいのは竿3本
西湖では竿数1人5本までが許可されているが、取り回しがいいのは3本。
反応があったタナとその上下2~3mに仕掛けを下ろして様子を見る。オモリは15~20号を使用する。
アタリは竿先が大きく引き込まれたり、食い上げることでテンションがなくなったりとさまざま。20cmほどのヒメマスでも20号のオモリなら簡単に引き上げてくる。30cm超級なら60号のオモリでも食い上げてくる。
そのわりに口が弱いので、アワセと仕掛けの回収は要注意。アタリのあった竿を軽くアワセを入れたあと、ほかの2本の竿をアタリのあったタナに合わせる。それから、アタリのあった竿の仕掛けを回収。
巻き上げは一定速度キープ
巻き上げは一定速度をキープ。水面で暴れてバラしてしまうことも多いので、できればタモを携行しよう。
一方、水温の高い時期ではフィッシュイーターのターゲットとなっていることも多く、途中でバスなどに食われることもある。仕掛けは速く回収したいが、速過ぎるとバレてしまう。この速度だけは経験してもらうしかない。
場所移動を考える目安
場所移動を考える目安は、アタリが30分以上なくなった時。また、周囲のボートにアタリがあるならタナが間違っている可能性が高い。複数の層に反応があるなら、別の反応にタナを変更してみると釣れることも少なくない。
また、まったくアタリがない場合は、ウインドトローリングも一手だ。強風の時には効果はないが、微風の時であればオモリを少し重めにして、風に任せて流し釣りをする。仕掛けが動くため、ヒメマスの反応もよくなり、予想以上の効果が出ることがある。
西湖のヒメマス
ここで述べたのは、私の引き出しのごく一部でしかない。エサ釣りだけでも奥深いのだが、ヒメトロと呼ばれるヒメマスを専門に狙うトローリングやレイクジギングでもヒメマスは釣れる。
西湖でのヒメマスのサイズは15~30cmほどだが、過去に支笏湖や中禅寺湖では50cm超級が釣れたこともある。条件が揃えば、巨大化するのもヒメマスの魅力だ。
<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
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