4月の雪代の釣りから2ヶ月、渓流の様子は一変し本来の穏やかな流れが戻っていて、緑の山々からハルゼミが鳴いている。6月12日、梅雨空の中2泊3日で南会津へ向かった。今回はその渓流釣りの模様をお伝えしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・中山祐司)
ハルゼミの鳴く渓流の釣り
渋滞の首都高を我慢し東北道は鹿沼インターを選び、日光例幣使街道の杉並木を楽しみ、鬼怒川温泉から会津西街道へ。シフトレバーに掛けてある年券も気ままな釣行には心強い。小雨の五十里湖を横目に時折晴れ間の射しこむ峠を下り松戸原へは正午の到着。
4月の雪代の釣りから2ヶ月、渓流の様子は一変し本来の穏やかな流れが戻っていて、緑の山々からハルゼミが鳴いている。若き頃この季節この渓でカゲロウの塊が川霧に押される後を追うヤマメと岩魚の乱舞に出会ったできごとは、昨日の事の様に覚えている。
あの時の場面に出会えたらと、やって来た。天気に見放された様だが、フライとテンカラは、準備してある。密かな期待をして車を進める。
釣り友と再会
連絡の取れた友人を訪ねて付近の渓の案内を依頼。釣りは卒業したと言う彼とは20年振りの再会である。若き頃岩魚釣りを指導してくれた彼は時に私の師匠でもある。
川虫を用意してくれた彼と春入渓した湯ノ岐川へ林道を走る。数ヶ所ある入渓点は夏草が覆い私には見つける事が出来なかったが、彼は鎌を手に木々の名前を説明しながら藪を漕ぎ渓へ導いてくれた。
都会のサンデーアングラーの不甲斐ない私では何度林道を往復してもわからない場所である。頼もしい限りである。熊避けの鈴音と相まって二人の笑い声は渓にこだましている。
今回のタックル
竿:渓流竿7.0m硬調
天上糸:1.5号3本ヨリ2m
道糸ナイロン:0.8号3m
ハリス:0.4号1.5m
ガン玉:3B
鉤は吉村渓流の7.5号を基本に対応し、餌は川虫を主に使用。目印は3箇所とした。
湯ノ岐川はリリースサイズ
美しい初夏の渓で、小雨でも水色は変わらず平水である。昼も過ぎたせいか岩魚の魚影も少なく、鹿の足跡に混じり釣人らしき足跡も残っている。
大淵が続く流れ込みで川虫に飛び出たのは18cmの小イワナ。GWも過ぎ入渓者も多かったのだろう。小イワナばかりが鉤掛かりしリリースを繰り返す。
上流の溜まりに尺物を確認し意気込むも沢楓の若葉で竿が入らない。ルアーも私の腕では枝釣りである。水面へ30cm程の空間にアプローチは不可能。中々季節は手強いが、魚はこうして温存されていく。
気づけばブナの森は蝉の合唱である。瀬音と交じり渓流釣りの至福のひと時が取り巻いている。コーヒーを入れ、この場所は来春に再度訪れる事とした。本日は納竿。二人で12匹の小イワナをリリースした。
湯ノ岐川