長い議論の末にいよいよ特定外来物リスト入りした「ミドリガメ」と「アメリカザリガニ」。今後はこれらの生物とどのようにかかわっていくべきなのでしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ザリガニが「特定外来生物」に
縁日の「ザリガニ釣り」や「カメすくい」で親しまれ、ペットとしても広くなじみのある生き物であるアメリカザリガニとミドリガメ(アカミミガメ)。
彼らはいずれも明治期以降に日本に移入された外来種であり、人々にかわいがられてきた一方で、自然環境にも定着し、在来の生態系に多大な悪影響を及ぼしてきました。
そのため長らく、その扱いに大きな制限が課される「特定外来生物」への指定が検討されてきたのですが、昨年ついにリスト入りが正式に確定。6月1日より正式に特定外来生物のひとつとなりました。
禁止された内容は?
今回、アメリカザリガニとミドリガメは「条件付き特定外来生物」という形でリスト入りしました。
通常の特定外来生物であれば、無許可での「移送」「飼育」「販売」「譲渡」「放出」が禁止となりますが、これら2種は「移送」「飼育」「無償譲渡」はしてもよく、「販売(有償での譲渡)」や「頒布」「放出」が禁止となります。かんたんに言えば「条件付き」とは、一部の規制が緩和されているという形になるわけです。
なぜこのような形になったのか、それはこの2種の生物がすでに、広く一般的に飼育されているものだからです。仮に通常の特定外来生物と同じ規制を行った場合、すでに飼育している人たちが罰則を恐れて、飼育している個体を自然界へ違法に遺棄してしまう可能性があります。それを防ぐための「条件付き」なのです。
決して、これらの生物が他の特定外来生物と比べて自然界にもたらす悪影響が小さいというわけではありません。
食材としての利用価値も
彼らが特定外来生物に指定されたことで、駆除活動が全国で活発に行われる可能性が高まっています。魚好き・生物好きとしては個人的にも協力したいけど、そんなに大量に捕獲しても飼育できないし……とお悩みの方もきっといるのではないでしょうか。
そんな皆様にお勧めなのが「食べて駆除」に協力すること。実はアメリカザリガニは、原産国のアメリカ、スウェーデンなどの北欧、そして中国ではとても人気の高い食材なのです。特に中国ではザリガニ料理専門店も豊富にあり、国民食と言ってもよいほど。
背ワタを取ってきれいに洗い、しっかりと加熱して食べれば、エビとカニの中間のような味わいで非常に美味です。
また、彼らは外見のわりに可食部が小さく、一方でむき身にするのは容易なため、一度に何匹でも食べられます。泥濁りがひどいポイントで採れたものでも、タマネギネットに入れて体の半分が浸る程度の水に入れておけば、共食いすることなく汚れを落としてくれて食べやすくなるので覚えておくと便利です。
なお、ミドリガメも食用にすることができ、こちらも味は良いと言えます。ただしアメリカザリガニと比べると解体・調理に労力が必要となるため、一般的な食材になるとはちょっと言いにくいです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>