我々が普段食べているアジと言えばマアジですが、ときに別の種が混同されていることがあります。どこで区別すればよいのでしょうか。
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秋が始まり「大アジ」が旬に
日本の食卓を代表する食用魚といえば、アジ科の代表種でもあるマアジ。ブリやカンパチなど重要食用魚を多数含む同科の中でも、最も馴染みある魚のひとつです。
マアジは一年中食卓に上がりますが、旬は暑い時期。餌となるプランクトンが豊富な海の中で脂が乗り、美味しくなるのです。
これに関して面白いのは、小型個体と大型個体で旬が微妙に異なること。東京湾では小型のキアジ(沿岸性の高いタイプのマアジ)は初夏から盛夏にかけて最も脂が乗るのですが、大型個体はこの時期、脂の乗りはあまり良くありません。
一方、9月になり残暑が緩み始めると、大型個体にもしっかりと脂が乗ってきます。個人的にはこの状態のマアジが一番好きです。大型個体は初夏に産卵を行うため、産卵後の荒食いが一段落して、9月頃にまた脂がしっかり乗った状態になるのではないかと思われます。
マアジとマルアジ
そんなマアジですが、この時期は釣りのターゲットとしても大変人気が高いです。
一般的にアジ釣りといえば、基本的には「マアジ」を狙う釣り。しかしマアジを狙っていても、ときに別の種類のアジが混ざることがあります。それは「マルアジ」。
マルアジはしばしば「青アジ」と呼ばれますが、体色はマアジと大きくは変わりません。シルエットも、マアジと比べると少し細長いものの、初心者では見分けられないことも多と思います。
最も大きな違いは、体表のゼイゴ(蛇腹状の鱗)の形状。マアジではゼイゴが尾びれの付け根から頭部の後ろまで続くのに対し、マルアジでは体側後方で終わってしまいます。これで見分けるのが一番確実でしょう。
マルアジはしばしば小売店でも混同され、一緒くたに「アジ」とされて売られています。そっくりなのでクレームもあまり出ないのかもしれませんが、消費者としてはやはり区別してほしいところです。