ヒオウギガイというちょっとマイナーな二枚貝があります。各地で養殖が行われており、年末年始になると需要が増えるというのですが、一体なぜでしょうか。
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ヒオウギガイの出荷が本格化
西日本の各地で、これから旬を迎える「ヒオウギガイ」の出荷が本格化してきています。
八代海に面した熊本県苓北町では、約1年半かけて殻径9cmほどまで育てたヒオウギガイが次々と出荷されています。今年は貝殻につくフジツボの発生量が多く、出荷前の清掃作業に手間が掛かったそうですが、貝の生育や貝殻の色などは例年と比べ遜色はないそうです。
また、宇和海に面した愛媛県南地域でも、宇和海を中心に44軒の養殖業者によって、年間40万個ほどのヒオウギガイが生産されており、こちらもこれから出荷が本格化するということです。
「虹色のホタテ」ヒオウギガイ
ヒオウギガイは漢字で書くと「桧扇貝」。この和名は、貝殻の形や色を、桧材の薄板を束ねて作った扇である「桧扇」になぞらえて名付けられたものだそうです。
ヒオウギガイにはこの名前の通りヒノキの皮のような赤茶色の個体のほか、黄色やオレンジ、紫などさまざまな色合いがあるのが特徴です。貝の色は変異が大きく、またホタテガイをひと回り小さくしたような形状をしていることから「虹色ホタテ」と呼ばれることもあるようです。
ヒオウギガイはホタテガイと同じイタヤガイ科に属しており、シルエットもとても良く似ています。しかし砂地の海底に生息し敵が来ると泳いで逃げることもできるホタテガイに対し、ヒオウギガイは岩場に固着して生息し泳ぎ回ることはできません。またホタテガイと比べ南方系の貝で、真珠貝であるアコヤガイ養殖の副産物として生産されることも多いといいます。