ヒオウギガイというちょっとマイナーな二枚貝があります。各地で養殖が行われており、年末年始になると需要が増えるというのですが、一体なぜでしょうか。
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年末年始に出荷が増えるワケ
ヒオウギガイは実は年間を通じて出荷されています。しかし、寒さが厳しくなる今の時期に貝殻の色が最も鮮やかになり、また最も美味しくなる「旬」を迎えるのだそうです。
さらに、冬はそもそも鍋物などで貝柱の需要が高まることに加え、ヒオウギガイならではのその鮮やかな色合いが「お歳暮向き」であることから、この時期に一番高値がつき、出荷量も増えるといいます。
ヒオウギガイは近年種苗の研究が進み、人工採卵して養殖を行うようになったことで、遺伝的に固定した様々な色彩変異個体を得ることができるようになったそうです。これもまた、年々需要が増加してきた理由の一つと言えるでしょう。
ヒオウギガイはホタテガイよりサイズこそ小さいものの、貝柱の味はむしろ濃く、甘みが強いのが特徴です。新鮮なら刺身でも美味しく食べられるそうで、都心でもときに入荷していることがあるので、見つけたら是非試してみてください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>