魚の強い引きで生じるドラグ音は、釣り人を鼓舞する心地よい音。一種の快感でもありますが、今回はジギングシーンを例に、ドラグ設定について考えてみます。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・丸山明)
ドラグの必要性
「ドラグ」とは、魚の強い引きに対して、スプールからラインが一時的に滑るように出て、ラインや仕掛けを魚の引きで切られないようにするためのリールの機能です。
太いラインを使えば切れにくくはなりますが、エサやジグをより「自然な形」で演出するには、抵抗の大きいラインを少しでも細くするのが理想的。特にジギングの実釣シーンにおいて、潮の流れがあれば、ラインが太ければ太いほど思うようなジグアクションができなくなってしまいます。
そこで、潮の抵抗を受けにくくするため、なるべく「細いラインを選定すること」、そして「適切なドラグ設定」が重要になってくるのです。
リールのドラグ設定の考え方
魚とのやり取りにおいて、タックルやラインの性能や経年変化など、多くの要素が複雑に絡んできます。ここでは、計算値で「適切なドラグ設定」を考えていきます。
「強力値の約1/3」が目安
ジギングのメインラインとリーダーについてです。その強度は通常メインライン≦リーダーですが、どちらか強度の弱い数値を使用します。ラインには「直線強力値」が表示されています。例えば14kgや18kgとありますが、これが引っ張り合いの強度をkgやlbで表現しています。
ドラグ設定値は、メーカーが出している「強力値」から算出します。これは、ライン強度の「最大値」でしょうから、この値を平均化して70%、ノットのリスクで70%、全体のリスクヘッジで60~70%、とマイナス要素を加味します。
すると、「強力値の約1/3」という数値になります。(以下、計算過程)
・強力値:製品表示の kg、lb の値をkgにする
・平均化値:製品のばらつきの平均化値(70%)
・ノットリスク:リーダーとのノットのリスク(70%)
・全体のリスクヘッジ:ロッドの抵抗や経年変化等々(60~70%)
つまり、強力値を100とすると、
100 × 0.7 × 0.7 × 0.6~0.7 = 29.4~34.3%
となり、強力値の「29.4~34.3%」=「強力値の約1/3」という値になります。
PEライン2号の計算例
PEラインを例に、実際に計算をしてみましょう。
例えば、PEライン2号(強力値15kgとする)では、
15kg × 0.7 × 0.7 × 0.6 ~ 0.7 = 4.41 ~ 5.15kg ≒ 4 ~ 5 kg
となります。
たったの「4kg」と思うかもしれませんが、ロッドにペットボトルを2本吊ってドラグを設定してみてください。結構な重さで、ドラグの強さを感じます。
そして、この状態でラインを手で引き、ドラグの強さを手で覚えてください。実戦では手の感覚が物差しとなります。まだ余力を残している数値です。しかし、最初の設定はこれで十分過ぎるパワーです。既定の数値を試して、その度合いを覚えるのが一番大切です。勿論、ラインの太さで変化しますので、応用を効かせます。