カワハギ釣りを考えるうえで、年間の動きと生態を知っておくことが重要だ。その時期が魚にとってどういうタイミングなのか理解し、それを反映した釣りを組み立てることが大切。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 編集部)
カワハギの年間の動きと生態
まずは、カワハギの生活年周期を知っておこう。
産卵期
関東近郊(東京湾と相模湾)では、晩春から初夏(6~7月)、海水温が上昇。それにともない、産卵準備のためエサ場(根周り、ヘリ、ツブ根)から、産卵場である浅場の砂地やツブ根にやって来る。ほかの魚同様、大型の個体から産卵を迎え、中~小型はやや遅れて産卵する。
回復期
産卵が終わった盛夏から初秋(8~9月)、さらなる海水温の上昇とともに、産卵で消耗した魚体を回復させるため、群れを作らずに浅場で活発にエサを捕食する。
索餌期
晩秋から初冬(10~12月)、海水温の低下とともに越冬を意識し始める。肝臓にエネルギーを蓄えるため、エサ場で荒食い、釣りは最盛期を迎える。
越冬期
その後、段々と群れを作って深場(20~40m)へ移動。冬から晩冬(1~3月)、さらなる海水温の低下とともに完全に深場(40~60m)に落ちて越冬する。初春から春(4~5月)は、また産卵に向けて海水温が上がり始めると群れをなして深場からエサ場へ向かう。
ここ数年、海水温が安定しないため、多少のブレはあるが、カワハギの1年はこのように動いている。
夏カワハギの攻略法
次に夏カワハギの攻略法をご紹介しよう。
サイズ
6~8月は、まだ産卵期の中~小型と早く産卵し、回復期を迎えた良型がターゲット。産卵に参加しない大型(年無し・老魚)と、昨年の1番最後にふ化した非常に小さい個体(極小ワッペン・未成魚)も交じるが、これらは数が少ない。この時期は本命以外の魚も活性が高いので、それらを避けながらパターンを組み立てていく攻略法が必要。
アタリとハリの選定
産卵期の中~小型は非常にデリケートな状態で、エサの追いと吸い込みが悪い。アサリを一気に食わず、何回かに分けて捕食するのでアタリが小さい。ハリ掛かりが悪く、バラシが多くなる。メスは特にこの傾向が強く、ほかの魚の反応と区別が難しいほどだ。
デリケートな時期とはいえ、エサを見つければ捕食する。縦の釣りでも横の釣りでも、小さなアタリ(触り)を見逃さず、ゆっくりとエサを食わせ(前アタリ)、ハリが口の中に入った”掛けアタリ”を感じてから掛けにいけばいい。
アタリの小さい小型がメインになるので、ハリは吸わせ系の小バリ(6.5~7号)を多用して、吸わせて掛けることをイメージするといい。吸い込みが悪いときはハリスを長くして、違和感なく吸わせることを心がける。長いハリスは感度が悪く、エサだけ取られることが増えるので、3本バリのうち、1本だけ長ハリスにするといいだろう。それでも吸い込みが悪いときはハリスを細くする。
回復期は大型が狙える
早く産卵し、回復期に入った大型の個体はエサの要求量が多いため、執着が強く、追いが非常にいい。また、釣れるのはオスにかたよる。このような魚は単独でいることが多く、数釣りは望めない。
広範囲に散らばっているので、キャスト中心の横の釣りで広く探り、魚を見つけることが効果的。回復期ということもあり、活性は高いので1回掛け損じても、エサが残っていれば2回、3回と追ってくる。早アワセしないように心がけよう。
アタリを感じたら、触り→前アタリ→掛けアタリをしっかり確認。掛けアタリがくるまで待ってアワせることが重要。横の釣りである程度カワハギの居場所が分かった場合、そこに船が差し掛かったら縦の釣りに切り替える。
回復期のハリ選定
大型のオスがメインになるので、吸わせ系の大きめのハリ(7.5~8号)を多用するが、吸い込みがいいときは中~大型のハゲバリで乗せて掛ける。アタリはしっかりでるので、ハリスは「吸わせ系=長め」「ハゲバリ系=短め」がいい。吸い込みがいいときは魚が大きいので太いハリスを使用する。
産卵期の中~小型個体と、回復期の大型個体のどちらか多いのか、フィールドで判断。それぞれの魚にアプローチ、パターンを合わせるのがカギになる。夏カワハギを攻略するときは参考にしてほしい。きっと今までとは違う攻略法が組み立てられるはずだ。