記録的な暖冬といわれる今年だが、三重県の熊野灘沿岸では例年通り冬のメタルスッテゲームが開幕。中部エリアでは稀有(けう)な3種のツツイカを同時に狙えるこのフィールドは、今季もアングラーを熱くさせている。今回はそんな熊野灘のメタルスッテゲームの攻略法を解説する。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)
メタルスッテゲームとは
メタルスッテゲームのルーツは、手釣りのイカ釣り漁である。この伝統的な漁法は、いさり火を煌々(こうこう)と照らし、鉛スッテという漁具を使用する。これを釣り人にも楽しめる形で始まったのが、近年のメタルスッテゲームだ。
私がよくお世話になる三重県・尾鷲湾周辺の遊漁船でも夜釣りをメインとし、LEDライトを照らしルアーゲーム用にアレンジした鉛スッテを使用する。まさに古くから伝わるイカ釣り漁のエッセンスを継承し、ルアーゲームという高いゲーム性と融合した形で楽しまれている。
狙える時期とイカの種類
冬の風物詩とも言えるメタルスッテゲームは、私のホームグラウンドである三重県南部では、水温の下がる1月後半から開幕し、ハイシーズンは2月中旬~3月中旬。水深はルアーが比較的アプローチしやすい、40m前後が基本となる。
また狙えるイカは、イカ御三家とも呼ばれるヤリイカ、アカイカ(ケンサキイカ)、スルメイカ。
冬の高級イカの代表格であるヤリイカは、産卵のため水温の低下とともに沿岸部に接岸し、パラソルサイズと呼ばれる大型が期待できる。また、アカイカはルアーへの反応が良く、群れが大きいため連続ヒットが期待でき、身は柔らかく美味なターゲットだ。スルメイカは、強烈なジェット噴射でパワフルファイトを楽しませてくれるスリリングなターゲットだ。
メタルスッテゲームのタックル
ロッドは感度や操作性の良い専用ロッドも多くリリースされており、穂先の軟らかいソリッドティップがオススメだ。繊細なアタリが穂先の変化として現れ、イカがスッテを抱いた際の違和感も軽減してくれる。
またリールは、フォール時のアタリが取りやすくヒットレンジの再現性を高めるため、ベイトリールタイプでカウンター付きが扱いやすい。
メインラインは、伸びの少ないPEラインを使用。私はアタリをよりダイレクトに感じるため、潮流に流されるなどの影響を軽減する意味で、なるべく細号数を使う。イカとの安心したファイトを前提に、0.5号前後を使用する。必要以上の太号数は、仕掛けも沈みにくくなるので要注意。
またリーダーは、根ズレに強いフロロカーボンリーダーの2段仕掛けが主流のスタイル。下段には鉛スッテをセットし、そこから80cm前後上段には、浮きスッテや小型の1.5号前後のエギをセットしよう。最近では専用のイカメタル仕掛けが各種販売されており、上手に活用すれば仕掛けの準備も非常に容易である。
スッテの選択
鉛スッテは、鉛に布を巻いたシンプルな疑似エサである。ウェイトは水深40m前後であれば、10~15号をメインに、潮流の強さに応じ8号や20号も少々準備しておきたい。ちなみに1号は3.75g換算である。
形状も小刻みな動きを得意とするベーシックな細身の樽状タイプに加え、跳ね上げや沈めるといった縦の動きを得意とする、魚をモチーフにした形状のものまで、シルエットやアクションにも特徴がある。カラーについては、多くのバリエーションが存在するが、赤緑、赤白などの定番のツートンカラーに加え、夜光カラーも実績が高い。
また上段には、フワフワとイカを誘引し潮流の速いシーンでは、水流の中でも動きが安定するエギタイプ。緩めばナチュラルな動きを得意とする浮きスッテといった形で、鉛スッテを含めカラー、形状、アクションの特性を考慮し、使い分けでその日の反応を探ってみよう。