熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う

記録的な暖冬といわれる今年だが、三重県の熊野灘沿岸では例年通り冬のメタルスッテゲームが開幕。中部エリアでは稀有(けう)な3種のツツイカを同時に狙えるこのフィールドは、今季もアングラーを熱くさせている。今回はそんな熊野灘のメタルスッテゲームの攻略法を解説する。

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(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

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メタルスッテゲームの釣り方

この釣りの醍醐味は、「アタリを感じて掛けにいく」といった、アングラー主導のゲーム性にある。

アプローチの基本はいったん底を取ってから、スタートする。着底後はやや仕掛けを底から巻き上げ、徐々にレンジを上げていきイカからの反応を確認する。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙うメタルスッテゲーム(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

まずは水深の3分の2程度まで探ってみよう。基本的にイカは、スッテやエギが沈んでいる最中や動きが止まった瞬間、ユラユラと潮にナジんで止まっているタイミングで、アタリが出ることが多い。そのためアクションはさまざまなバリエーションが存在する。

ロッドを振り上げてラインテンションを張った形で、ゆっくり沈めていく、ジャカジャカジャカッと穂先を小刻みに動かしてからのステイ、ヒュイッと跳ね上げてからスッと仕掛けを沈めるなども有効だ。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙うアクション(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

いずれもコンッと明確にアタリが伝わる場面もあるが、張っていたラインテンションが抜ける、沈めている最中に仕掛けが止まる、モゾモゾとした違和感もアタリであることが多い。怪しいと思ったら迷わずアワセを入れてみよう。

イカの釣り分け方

ヤリイカ、アカイカ、スルメイカのイカ御三家は、探るレンジである程度の釣り分けが可能である。特にヤリイカは底付近で釣れることが多く、着底後底付近を繰り返し丹念に探ってみよう。

また、アカイカは広範囲を手返しよく探ることがセオリーだ。特に小刻みなアクションからのステイが有効で、スルメイカも同様の傾向が強い。

ただスルメイカに関しては、海面付近まで積極的にベイトを追い回すことが多く、船べりでのヒットも珍しくはない。このようなことから、狙うレンジでの釣り分けは、底はヤリイカ、中層がアカイカ、スルメイカ、表層がスルメイカといったイメージだ。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う釣り分け・釣果を伸ばすコツ(作図:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

釣果を伸ばすコツ

この釣りは、刻々と変わるヒットレンジを効率よく探ることが重要だ。船上では乗船者とワンチームになり、ヒットパターンの情報交換などを密に取り、ベイトのいる水深は船長の指示をこまめに確認しよう。

また、これは私がいつもお世話になっている引本浦港から出船するエヌテックマリンの中井船長に聞いた小ワザである。潮流が速く、どうしてもラインが斜めを向いてしまう状況では、イカに対しメインラインの違和感を少なくするため、上段の枝スを少し長めに取ってみよう。

またイカからの反応が悪いときは、釣り人の心情としてどうしても釣れないときほど仕掛けにアクションを加えたくなるものだ。

しかし、そんなときほど食わせの間を意識し、アタリを待つ時間を少し長めに取るなど、アクションの強弱を変えることで状況が打開できるケースも多い。動かし過ぎも逆効果となることもあると覚えておこう。

このように小さな工夫が釣果に直結するのでいろいろ試していただきたい。

イカ狙い以外の楽しみ方

メタルスッテゲームのもう1つの楽しみ方と言えるのが、大型のアジが狙えることである。

ライトの明かりに寄せられた小さな小魚を狙い、30cmオーバーの良型からキガアジと呼ばれる40cmオーバーのモンスターサイズまで、メタルスッテ仕掛けの上段を、2inch前後のワームをセットしたジグヘッド仕掛けに変更するだけで、手軽に楽しむことができる。

熊野灘の冬の風物詩『メタルスッテゲーム』解説 3種のイカを同時に狙う同時にこんな魅力的なアジも狙える(提供:週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基)

ちょっとメタルスッテゲームの合間に、大型アジのお土産追加を狙ってみるのもオススメだ。

暖冬とはいえ水温もしっかり下がり、メタルスッテゲームは最盛期を迎えている。ぜひ、寒さをぶっ飛ばす船上の夜遊びを楽しんでいただきたいと思う。

<週刊つりニュース中部版 APC・橋本広基/TSURINEWS編>

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▼この釣り船について
エヌテックマリン
この記事は『週刊つりニュース中部版』2020年2月14日号に掲載された記事を再編集したものになります。