ヘラブナが滅びゆく『瓜田ダム』で価値ある2枚 アタリは日に1度有るか無いか

ヘラブナが滅びゆく『瓜田ダム』で価値ある2枚 アタリは日に1度有るか無いか

2020年1月10日、ヘラブナが滅びゆく湖『瓜田ダム』で野釣りを堪能した。放流も無く魚影の薄い冬のダム湖で日に1度有るか無いかの一瞬に賭ける浪漫を追う釣りだが、価値ある2枚を手中に出来た。

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(アイキャッチ画像提供:WEBライター・楢﨑 人生)

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楢﨑 人生

廃人、42歳厄年、獅子座A型。趣味はヘラ浮子作り。泣かれる身内もないけれど、死ぬのは嫌でございます。

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淡水の釣り ヘラブナ釣り

タナ深くして待望の35cmヘラブナ

上ずりでないなら下しかない。ウキを5cm深くセットし祈るような気持ちで振り込むと、ウキが完全に馴染み込む前に明確な喰いアタリ。あれほど欲していた喰いアタリが基準値のタナから5cm深くしただけで簡単に出た。上がってきたのは35cm。ヘラはエサが5cm落ちてくるのを待っていたのだ。

ヘラブナが滅びゆく『瓜田ダム』で価値ある2枚 アタリは日に1度有るか無いか35cmが姿を見せる(提供:WEBライター・楢﨑 人生)

2投連続アタリでサイズアップの37cm

エサも残り少ないし上がりベラにしても良かったのだろうが、群れの大きさからあわよくばもう1枚は獲れるのではないかと残りのダンゴも使い切る事に。すると信じられない事に、前の1投と全く同じ馴染みの位置でカツンと音が聞こえてきそうな最高の喰いアタリ。

玉網に収めるとずっしりと重い37cm。この2枚目が今日の釣りの正解にたどり着いたと確信を与えてくれた。

放流も無く魚影の薄い冬のダム湖で明確な喰いアタリを出す事は容易ではない。早朝から夕刻まで粘ってもウキがピクリとも動かない日も少なくはない。1日に1度有るか無いかの一瞬に賭ける浪漫を追う釣りだ。だからこそ今回の2枚のヘラブナは自分にとって大変価値のあるものとなった。納得のいく釣りはそうそう出来るものではない。それを冬に出来たことが、私に枚数やサイズ以上の満足感を与えてくれた。

ヘラブナが滅びゆく瓜田ダム

瓜田ダムは宮崎県でヘラブナが釣れる数少ない湖だが、ヘラブナに関して言えばここ4~5年程は産卵から孵化・成長のサイクルが完全に崩壊している。若いヘラブナは1枚も釣れず、管理釣り場で何度も釣られたような個体が目立つ。ヘラブナの病気・寄生虫、水質の変化、他魚種の増減、考えられる可能性を総動員しても理由は皆目見当がつかない。

ヘラブナが滅びゆく『瓜田ダム』で価値ある2枚 アタリは日に1度有るか無いかヘラブナの数は減る一方(提供:WEBライター・楢﨑 人生)

役に立つとは思えないが釣れる度に1枚1枚のデータを取っている。若いヘラブナが全く育たないという事は、現在生息しているヘラブナが老いや病気で死滅すれば湖からヘラブナの姿は消滅する事になる。こればかりは釣り場の美化活動などで解決出来る問題ではない。初夏には蛍が舞う美しい水辺。その湖中で起こっている生態系の崩壊。この湖でいつまでウキを眺めていられるだろうか。いささかの寂寥(せきりょう)を覚えながら家路についた。

ヘラブナが滅びゆく『瓜田ダム』で価値ある2枚 アタリは日に1度有るか無いか初夏には蛍の姿も(提供:WEBライター・楢﨑 人生)

<楢崎人生/TSURINEWS・WEBライター>

▼この釣り場について
瓜田ダム(瓜田川と本湖の合流点が釣り場)