夏は釣りのハイシーズン!だけでなく、ゲリラ豪雨や天気急変多発シーズンでもあります。大事に至らない様、天気の3つの見極め方と対処法を紹介します。
気象予報士に聞く夏の天候急変2パターン
今回話を伺ったのは、天気情報サイト「お天気.com」を運営する株式会社ポッケの気象予報士だ。太平洋高気圧の勢力が強まると各地で梅雨明けを迎え、本格的な夏になっていきます。夏は高気圧に広く覆われ安定した晴天となり、厳しい暑さになる日が多くなりますが、晴れていても天気が急に崩れる事があります。代表的な2パターンを解説します。
上空に寒気が入った時
天気図では高気圧圏内で低気圧が発生していない場合でも気圧の谷が日本海~本州付近にあると上空に寒気が入りやすくなります。
午前中から昼過ぎ頃にかけては天気が良く気温が大きく上がった際に上空の寒気と地上付近の気温差が非常に大きくなります。気温差が大きくなると対流活動が起こりやすくなり(大気の状態が不安定)、夕方から夜にかけて局地的に雨雲が発達して急な雷雨をもたらします。
この日は東~西日本では高気圧に覆われて晴れた所が多くなりましたが、夕方から夜にかけて関東北部では雷雨となりました。
湿った空気が入った時
天気図では南海上に高気圧があり日本海から北日本に前線帯がある場合や高気圧の縁にあたる場合、台風が接近してくる場合などでは湿った空気が入りやすくなります。
前線の雲が直接かからない東~西日本では日中は晴れる所が多くなりますが、日中の昇温と湿った空気により大気の状態が不安定になり、夕方以降は雷雨になる事があります。
この日は前線の停滞する東北では曇りや雨で東~西日本では朝から夕方頃にかけては晴れる所が多くなりましたが、夕方以降は内陸を中心に雨雲が発達して都心でも夕方以降は雷雨となりました。
〈解説:株式会社ポッケ気象予報士〉
この2パターンを押さえ、釣り人として対処すべき方法を以下で紹介していきます。
対処法1:常に予測しよう
対処法のベストは予測して回避すること。
1-a、スマホでチェック
天気予報は日進月歩の進化をとげています。精度やリアルタイム性の向上や情報の細分化などにより、サービスも併せて多様化の一途をたどっています。
いざという時にどのサイトを見れば良いか分からない、なんてことのないように、普段から複数の天気予報サービスを利用し、TPOによって使い分ける癖をつけましょう。例えば、「海釣りにはTSURINEWSのリアルタイム天気&風波情報、渓流釣りには○○のアプリ」などのようにです。
1-b、目でチェック
視覚から入ってくる情報はたくさんあります。その中でもやはり一番にチェックしたいのが、雲の状態や明るさなどがポイントになる「空」の様子です。
突然暗くなってきたり、発達した積乱雲が迫ってきたらゲリラ豪雨のサイン。よく見ると、離れた場所にある雲の下に雨が見える場合もあります。こんなときは、すぐに釣りをやめて濡れない場所へ避難しましょう。釣りをする前だったら、竿出しは一旦ストップです。
1-c、耳でチェック
聴覚で気をつけるべき情報といえば、やはり雷です。一瞬で雷の音だと判断出来る場合は、雷雲が近い合図。知らず知らずのうちに手に持っている竿が避雷針になっています。雨とは違って、濡れても乾かせばいいやでは済みません。もちろん即刻退避しましょう。場合によっては竿は持たずに逃げることも選択肢に入れましょう。
1-d、肌でチェック
前述の雷の音が聞こえて、ラインを触る指がチリチリするなんてことがあったら、待ったなしの状態。空気中の帯電量が増えてきている証拠です。
竿は置いて避難あるのみです。また、他に肌で分かる情報としては、やはり「温度」が代表的でしょう。真夏なのに急にひんやりしてきたら、大気が不安定な証拠。ヒョウやアラレが降ったり、竜巻が起こりやすい状況です。涼しくちょうどていいやなんて言ってると痛い目にあうことも。
対処法2:避難ポイントを見つけておこう
予測が出来たとしても、避難ポイントが無ければ意味がない。片付けて帰路につく時間的余裕があれば良いが、切迫した状況の時のために、1次避難場所の目処を付けておきましょう。
基準としては雨風がしのげる場所にはなるが、増水で水没の可能性がある河川の橋の下や、波が高くなると水が到達するかもしれない海岸沿いの高架下などは避けましょう。
対処法3:雨対策アイテムは必須
最後は備えておきたいアイテムを紹介します。
3-a、レインウェア(トップ)
ちょっとくらいの雨では釣りを継続するのが釣り人のサガ。雨が降ってきたタイミングでおサカナさんの活性アップで時合い到来、なんてことも。そこでマストなのが防水レインウェアです。
選ぶポイントは3つで、1つ目は防水性。耐水圧の数値が高いものを選びましょう。2つ目は、山ではなくマリン用品を展開しているメーカーのものを選ぶこと。そして3つ目が出来るだけコンパクトに畳めるものを選ぶことです。
3-b、レインウェア(ボトム)
釣り場でよく見るのが、防水の上着は着ているけどパンツはデニムというパターン。濡れてインディゴカラーになっていることも。防止策はズボンの上から履けるレインウェアを持っていくことでしょう。トップとセットになっているものを買うのがオススメです。
3-c、長袖Tシャツ
また、念の為に長袖Tシャツを1枚持っておくと、濡れてしまった時の着替えや、風に吹かれて下がった体温のカバーにも役立ちます。
「安全に満喫」がスマート!
雨が降ろうと雪が降ろうと耐えてこそ一人前の釣り人だ!なんて精神論はなんの役にも立ちません。個人の準備不足で起きた事故が釣り場の閉鎖に繋がることもあります。釣りは自然相手のレジャーであることを再認識して、万全の備えでスマートに楽しみましょう。
<小菊 洋輔/TSURINEWS・デジタル編集部>