いよいよ梅雨が明けて夏本番。海に川に、釣りだけでなくキャンプやバーベキューとアウトドアレジャーを楽しむ季節。そこで、気をつけなくてはいけないのが熱中症。今回は、重症化させないための初期症状や対処法を解説。
(アイキャッチ撮影:週刊つりニュース関東部編集部)
熱中症の重症度合
日本救急医学会では、熱中症の重症度を「具体的な治療の必要性」の観点から、
・Ⅰ度(現場での応急処置で対応できる軽症)
・Ⅱ度(病院への搬送を必要とする中等症)
・Ⅲ度(入院して集中治療の必要性のある重症)熱中症の重症度3段階
以上の3つに分類される。「暑熱環境にさらされた」という状況下での体調不良は、すべて熱中症の可能性がある。
軽症に分類される熱失神
軽症に分類される熱失症は、「立ちくらみ」、熱けいれんは全身けいれんではなく「筋肉のこむら返り」で、どちらも意識がはっきりしている。
長時間座った状態で釣りをして、立ち上がった瞬間、くらくらっときたり、揺れる船上でふんばっていて足がつった…なんて、日ごろ経験をした人もいるだろう。
しかし、気をつけなければいけないのは、気温や湿度との関係。ただの立ちくらみや手足のつりとの区別が難しい。
中等症に分類される熱疲労
中等症に分類される熱疲労は、全身の倦怠感や脱力、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢などが見られる。
これも、「釣りや外で一日遊んで帰ったから疲れて当然」、「冷たいものの過剰摂取により、おなかが緩くなった」などと安易に考えていると、じつは…というケースがある。自宅へ戻ったあと、症状が悪化することも珍しくない。
最重症の熱射病
さらに、最重症は熱射病と呼ばれ、高体温に加え意識障害と発汗停止が主な症状。けいれん、肝障害や腎障害を合併し、最悪の場合には早期に死亡することがある。
さすがに、ここまで重症化すれば熱中症とわかると思うが、重症度を判定するときに重要な点は、
「意識がしっかりしているか」
「水を自分で飲めるか」
「症状が改善したか」
水分補給で重症化防止
まず、「あれ?」と感じたら、すぐにエアコンが効いた車内や、風通しのいい日陰など涼しい場所へ移動して体を冷やすこと。水分を自分で取り、Ⅱ度~Ⅲ度への重症化を防ぐ。
船釣りの場合、日差しは強いが潮風があったり、渓流やアユ釣りでは水中に立ち込んだり、水面を通る風があるぶん、地上より涼しく感じてしまうので注意が必要。
意識がおかしい、自分で水分・塩分補給できない、応急処置を施しても症状の改善が見られないときは、すぐに病院へ搬送(医療機関での診療を必要とするⅡ度と、入院して治療が必要なⅢ度の見極めは、救急隊員や医療機関に搬送後に医療者に判断を任せる)。