マテ貝の潮干狩りは他の貝と違って独特。塩分濃度に敏感な貝のため、巣穴に塩を入れて塩分濃度を上げ、マテ貝が飛び出してきたところを取ります。今回はそんなマテ貝掘りの道具・場所・時期といった基礎知識と、マテ貝の取り方のコツ、持ち帰り方までまるごと紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター弓削和夫)
マテ貝の取り方とコツ
続いてマテ貝の取り方の手順とコツを解説していきます。
砂の表面を削り、巣穴を見つける
まずは着がえて用意をし、潮が五分以上引いて沖のブレイクライン(かけ下がり)が出たら開始です。
浜に下りてブレイクラインに立ち、沖に向かって軽くジョレンで表面を5cmほどかいて5mm程度の楕円の穴(カニや他の貝の場合もあり)を探します。
目的が数取りなので、1個や2個ではなく数個の穴を見つけましょう。見つかったら、その付近を広く探っていきます。
楕円形のマテ貝の巣穴を水平に砂を掘って探す(提供:TSURINEWSライター・尾崎大祐)巣穴に塩を投入!
ある程度穴が出たら、今まで表面から5cm程度かいていた砂を、そこからもう5cm深く掘ってみましょう。こうすることで穴がしっかりします。
ここで塩の投入です。掘り手から遠い場所から順番に少し多め(ちょっと盛る程度)に入れます。飛び出し方はいきなり飛び出す貝、水管しか出さない貝、飛び出し過ぎて横になる貝、いったん出て引っ込む貝といろいろです。
塩を投入してマテ貝が出てくるのを待つ(提供:TSURINEWSライター・尾崎大祐)引き潮時は穴の奥に入っているためか出てくるのに時間がかかるので、貝が出てくるまでの間に、今度は海岸線に沿って横移動で砂をかいて穴を探していき、塩を投入しておきます。そうしてから最初に塩を入れた場所で抜きにかかると効率よく探せます。
効率よく穴を探して塩を入れていこう(提供:TSURINEWSライター・弓削和夫)マテ貝の抜き方
スポッと簡単に抜けず、引っ掛っていると感じるときは、足を膨らまして我慢していることが多いです。こんなときに貝を一気に抜くと足が切れて食べるところがなくなるので、無理は禁物です。この時は手を離さず軽く引っ張っておいて足が縮むのを待つか、少し押し込んで足が縮むのを待つか、軽くひねってみてください。
塩分濃度の変化によってマテ貝が飛び出す(提供:TSURINEWSライター・弓削和夫)水管(ツクシのハカマのようなもの)が出ているだけのものは指3本で砂ごとつかみ抜いてみましょう。この時も足が膨らんでいる場合が多く、時間が掛かります。釣りと同じで大物を取り込んだような達成感が感じられるはずです。慣れてくると一度に2本つかみや両手抜きも楽しめます。
足が切れないように慎重に引っ張り出そう(提供:TSURINEWSライター・尾崎大祐)潮が干潮から満潮に近くなると貝も上に上がってきて、砂を深く掘ると貝に当たる時があります。その場合は浅く砂をかくようにしていき、当たる回数が増えてきたら終了の合図です。中洲のような場所なら上げ潮は一気に潮が上がるので注意が必要です。
道具なし(手掘り)で取る方法も?
満潮時のマテ貝は水中に水管を伸ばため、浅場に出てきていることが多いです。そのため、ジョレンや塩がなくても砂を掘ることで採取可能になります。
水に浸かりながら取る必要があるので、溺れないよう水深10cm程度の浅瀬を狙うようにしましょう。また、アサリなどのように熊手を使って砂を掘ると、マテ貝の薄い殻を貫通してしまうので、手で砂を10cm~15cmぐらい掘り進めてマテ貝を探します。見つけたら掴んで、足が切れないように慎重に引っ張り出します。
マテ貝の持ち帰り方と下処理
マテ貝は砂を噛まないので基本的には砂抜きが必要ない貝ですが、貝殻の表面や貝殻と身の隙間の砂を落としきれないと料理に混入してしまうため、しっかり洗う必要があります。
まずは帰る前に砂を落とすため、マテ貝が入ったバケツに海水を入れて洗います。網付きのバケツなら口をしめて逆さまにし、砂を落とせるので便利です。また、海水を入れたときに浮いている物は食べる部分の足が切れている物なのでリリースしていきます。
持ち帰り方はバケツがそのまま入るクーラーがあるなら、海水をひたひた程度に張り、バケツごと持ち帰りましょう。あまり海水の温度が上がりすぎて弱らないないように、クーラーには保冷剤も入れておき、携帯用エアーポンプなどでエアレーションもするとベストです。
アサリなどと一緒に持ち帰る場合は、マテ貝の貝殻は弱いので一緒に入れておくと他の貝の貝殻にぶつかり、割れてしまう場合があります。死んでしまう原因にもなるので仕切りを作ったり、他の容器で持ち帰るといいでしょう。
家に持ち帰ったら、真水でもう一度洗って砂を落としてから調理に使います。
マテ貝の美味しい食べ方
調理が簡単なのは、そのままの網焼きです。開いた殻の片方をスプーンがわりにすれば野性味も楽しめます。フライパンで焼いてバター醤油もおいしいし、麺つゆをかけてもまた違った味が楽しめます。ほかに、クリームチャウダー、小さいのは味噌汁の具材にしても美味しいです。
食べきれない分は冷凍保存しておけば、1ヶ月ぐらいは美味しく食べられます。
最後に
お父さんが砂をかき、お母さんが塩を入れ、お子さんが抜くというチームワークで掘れば、効率よく楽しめると思います。穴の周りで騒いでも、触らない限り引っ込むことはないので安心です。そして貝を抜くと穴が崩れるのが不思議で面白いですよ。
ただ、場所により貝類採集禁止の場所もあるので事前に確認してください。
コツを掴めばたくさん取れる(提供:TSURINEWSライター弓削和夫)<TSURINEWS編集部>




