マテ貝の潮干狩りは他の貝と違って独特。塩分濃度に敏感な貝のため、巣穴に塩を入れて塩分濃度を上げ、マテ貝が飛び出してきたところを取ります。今回はそんなマテ貝掘りの道具・場所・時期といった基礎知識と、マテ貝の取り方のコツ、持ち帰り方までまるごと紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター弓削和夫)
マテ貝の生態
マテ貝は二枚貝網マテガイ科の細長い貝です。大きくても太さは人差し指程度で長さは10cmほど。九州には指2本程度のサイズもいるようです。二枚貝ですが殻がしっかり閉じずにだらしない感じなのも特徴のひとつ。また、その殻は柔らかく、強く握るとすぐに潰れてしまいます。
普段、強力な脚で結構深い縦穴を掘って生活しています。海水が高い時は砂地から頭を出していますが、潮が引くと砂の中に引っ込んでしまいます。水中のマテ貝を船から櫛状の道具を使って捕獲する漁師さんもいますが、干潮時に水平に砂を掘ってマテ貝の巣穴を探し、巣穴に塩を入れて取るのが一般的です。
マテ貝はおいしい
味が濃く、アサリより旨味が強いため色々な料理に向いていますが、殻が弱いので市場には出回りにくい貝です。内湾の小石が交じらない砂地に生育しており、特に河口付近に多いようです。産卵期は5~7月ぐらいで、味がいいのは3月ごろと言われています。
マテ貝の潮干狩り
マテ貝掘りは家族やカップルにお勧め!初めての人は驚いて見ているだけになったり、すぐに引っ込んでしまう貝にツッコミをいれたりとワイワイ間違いなし。また、マテガイを砂の上に置いておくと潜ろうと立ってたり、砂を落とそうと海水溜まりに入れておくとロケットのように泳ぎます。見ているだけでも面白いんです。
そして、貝料理もおすすめです。食べても癖のない濃い味で、焼いても炒めても煮てもおいしいです。そして、アサリと違い砂抜きが必要ないところも嬉しいポイントとなります。
マテ貝掘りに向く潮回り
潮は干潮時が狙い目なので、特に大潮時の干潮前後1時間半の合計3時間が狙い目となります。捕獲が楽なのは潮の上げ始めです。このタイミングだと貝が上の方に上がってくるので、出が早くなります。
マテ貝掘りの時期
マテ貝は一年中取ることができる貝ですが、旬の季節で潮が日中に大きく引く春が一般的にはハイシーズンとされています。
マテ貝掘りに必要な道具
必要な道具は、スコップか園芸用移植ゴテ、塩1~2㎏、塩を入れる容器、バケツ、長靴(サンダルでも可)だけです。ほとんど100円均一でも揃う道具なので気軽に始められます。
さらに楽しみたい方は、ジョレンや左官用の鍬(くわ)、乾煎り(からいり)した塩、ウエダーか長靴、マテ貝が洗いやすい網付きバケツを用意することをおすすめします。
塩にも一手間
塩分濃度に敏感なマテ貝堀りには塩が必需品です。普通の塩でもいいのですが、フライパンで乾煎りしたサラサラ塩は、穴入れが楽になります。ただ、乾煎りし過ぎると結晶が荒くなり穴が詰まる原因になるので注意。軽く煎って広げて冷ますといったん塊になりますが、これをほぐせばOK。
塩を入れる容器は、100均やホームセンターで売っているようなフリー容器の500ccを私は使っています。先端の穴径を5mm程度に広げれば素直に出てくれます。砂の上に置けるうえ、穴に連続で入れるのに活躍します。またオイル差しの方が胴が軟らかいので簡単に噴き出すことができおすすめです。
穴を掘る道具
鋤簾(じょれん)は、鋤(すき)や鍬(くわ)に近く、土よせとも呼ばれる道具です。これは砂の表面をかくのに使います。スコップやシャベルよりも砂を水平に掘りやすく、マテ貝の穴を探しやすいので、効率的にマテ貝を取ることができます。
また、ステンレス製もあり、海水で使用するマテ貝堀では手入れも楽です。刃を少し研いで砂を切れるようにしておくとマテ貝の穴をしっかりと露出させることができます。
鋤簾は少し大げさだという人には、鋤簾より小型な左官用の鍬などもマテ貝の穴を掘りやすく、おすすめの道具です。
ウェーダーが便利
表層の砂をかくと、下は湿っており、海水が湧く時もあります。この時、夢中になっているとお尻が砂に着いて濡れる場合があります。ウェーダーを履いておくとはいずりまわることもでき、最後に海に立ち込みマテ貝の砂落としもできるので、とても便利です。他に雨具のズボンと長靴の人もいます。