使い勝手の良さから人気が高いものの、環境汚染の原因とも目される軟質プラスチック製の釣り具。その代替品が、意外なものから作られるようになるかもしれません。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
漁具から生まれた人気釣具「タイラバ」
釣具の中には、もともと漁師が使っていた漁具がもとになって作られたものがあります。その一つがタイラバ。
タイラバは和製ルアーの1種で、漁師が使っていたタイカブラという漁具をもとに生み出されたものです。オモリの下に「ネクタイ」や「スカート」と呼ばれる軟質プラスチック製のヒラヒラした「ラバー」が付いているのが特徴です。
タイラバで釣れたタイ(提供:PhotoAC)このラバーがエビや小型甲殻類など、タイが好むエサに見えるようで、エサをつけなくても簡単にマダイが釣れてしまいます。今ではタイラバ専用船も出るほどで、全国で人気の釣り方となっています。
廃棄うどんでタイラバを作る試み
そんなタイラバについて、とある素材によって作られたラバーがこのたびお目見えしました。その原料はなんとうどん。讃岐うどんで有名な香川県の大学や社会福祉法人のチームが開発したものです。
香川大学が開発した「炭水化物をセルロースに変える技術」によって、廃棄うどんを原料にシリコンラバー様の素材を製造することに成功。実際にタイラバのラバー部分に用いてマダイが釣れることも検証したそうです。
うどんでタイを釣る!?(提供:PhotoAC)香川県内では、毎年数千トンもの廃棄うどんが発生しているといいます。その活用方法は様々な形で研究されていますが、釣具に加工するというのは非常にユニークなアイデアです。香川大学は今年中の一般販売を計画しており、1つ1,000円程度で販売される見込みだそうです。
ゴーストギア問題の解消にも?
タイラバのラバーは魚にかじられるとすぐにボロボロになってしまいます。ちぎれたラバーが海中に漂うと、やがてマイクロプラスチックの発生源となってしまい、環境汚染にもつながっていました。
釣れるけど環境問題も(提供:PhotoAC)今回開発されたうどんを用いて作られたラバーは、いわゆる生分解性素材の1つであり、海中に流出しても微生物の力で分解されます。そのため、環境に優しい釣具としても注目されることになるでしょう。
タイラバに限らず、軟質プラスチックで作られたソフトルアーは安価なためタフな環境で使われることが多く、しばしば海中に放置され、環境汚染やゴーストギア問題(放置された漁具が魚を殺し続けてしまうこと)の原因となってきました。今回の技術によって生分解性ソフトルアーがより身近なものとなれば、そのような環境問題も解決の糸口が見つかるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


