「暑さに強いギンザケ」が誕生! 冷たい海を好む魚を日本で養殖するための切り札に?

「暑さに強いギンザケ」が誕生! 冷たい海を好む魚を日本で養殖するための切り札に?

サケ科の魚たちが姿を消しつつある我が国において、大事なポジションを締めつつある「ギンザケ」の養殖技術が発展を続けています。

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高温耐性ギンザケが開発される

これまでわが国で養殖魚と言えばマダイやブリ、ヒラメなどが有名でしたが、最近非常に存在感があるものが「ギンザケ」。全国各地で養殖され、その加工品を店頭で見ない日はありません。

「暑さに強いギンザケ」が誕生! 冷たい海を好む魚を日本で養殖するための切り札に?養殖ギンザケ(提供:PhotoAC)

そんな中、とある特別なギンザケが開発され、業界で話題となっています。それは「高温耐性ギンザケ」。高温に耐性のある個体を選抜して育種したもので、数年前から開発が始まり、今年から流通もしているそうです。

近年、日本周辺の海洋温暖化によって、本来は冷水域の魚であるギンザケの養殖に影響が出ているとも言われています。日本周辺海域では今後さらに温暖化が進んでいくことが予想される中、高温耐性ギンザケにさらなる注目が集まるのは間違いありません。

養殖期間をズラす技も

ギンザケは日本でも非常になじみのある魚ですが、そもそも日本に生息する魚ではありません。本来はより寒い地域で見られる魚のため、わが国の水温はギンザケにとって基本的に「暖かすぎる」のです。

そんなギンザケを日本で養殖する中でネックとなるのが夏場の海水温。わが国の多くの海域では、夏場になるとギンザケの生育に適さない水温まで上がってしまうのです。稚魚を育てても、夏になると全て死んでしまうのでは意味がありません。

「暑さに強いギンザケ」が誕生! 冷たい海を好む魚を日本で養殖するための切り札に?ギンザケの新巻き鮭(提供:PhotoAC)

そのため、少し目先を変えて「夏場には海中にいないようにする」養殖方法も最近は一般的なものとなっています。ギンザケは非常に成長効率の良い魚で、育て方にもよりますが生け簀に入れてから半年ほどで出荷サイズになります。そのため水温が下がってからいけすに入れ、水温が上がり切る前に出荷すると言う方法を取ることができるのです。

和食文化を支えるギンザケ

これらのような苦労をしてまでもわざわざわが国でギンザケを育てている理由、それは「サケが獲れなくなってしまった」から。わが国ではもともと東日本の広い範囲でサケ(シロザケ)が取れていたのですが、温暖化などの影響でわが国の沿岸から姿を消し、今では北海道以外の産地でほとんど水揚げがなくなってしまっています。

「暑さに強いギンザケ」が誕生! 冷たい海を好む魚を日本で養殖するための切り札に?ギンザケの塩焼き(提供:PhotoAC)

しかしながらサケはわが国の食卓に欠かせない食材。伝統料理にも多く用いられ、サケがない和食と言うのは考えられません。そのため獲れなくなってしまったシロザケを補うようにして、近年ギンザケの養殖が非常に盛んとなっています。

ギンザケはシロザケとは全く違う魚で、味の面も違うところが多いですが、それでも代用魚としては十二分です。現在ではサケとして売られているものの多くがギンザケを原料としています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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