夏場のキス釣りでは、河口やその周辺も面白いポイントになる。今回は約40年前のレトロな竿とリールを使いながら、タックル全体を40g軽量化。操作性や感度、飛距離にどのような違いが表れるのか、和歌山県の印南港と紀の川河口で実釣して確かめてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
夏場は河口のキス釣りに注目
夏場のキス釣りでは、河口やその周辺も狙い目になる。河川から水が流れ込むことに加え、浅い砂泥底にはキスのエサとなる多毛類やエビなども生息している。高水温期にはキスが比較的岸近くまで寄ることもあり、遠投だけでなく足元近くを狙うチョイ投げまで、幅広い距離でキスのシグナルを捉えられるのも魅力だ。
紀ノ川河口(提供:TSURINEWSライター・牧野博)
今回は、そんな夏の河口周辺で約40年前のレトロタックルを使用。ただ懐かしい道具で釣るだけではなく、タックル全体を軽量化することで、操作性や感度にどのような違いが表れるのかを実釣で確かめてみた。
このチャレンジは、現在の最新タックルがいかに進化しているのかを、改めて考える機会にもなった。
約40年前のレトロタックル
今回使用するタックルは、現在では入手するのが難しいものばかりだ。しかし、同じくらいの年代の道具を持っていて、「久しぶりに使ってみよう」と考えている人には参考になるかもしれない。
画像説明文入力位置(提供:TSURINEWSライター・牧野博)38年間使い続ける投げ竿
ロッドは4.2mのカーボン製並継投げ竿「櫻日本 特作 金剛 4.2m」。以前にも紹介したことがあるが、社会人2年目だった筆者がサクラの小売部(東京・神田)で購入したものだ。
櫻日本 特作 金剛 4.2m(提供:TSURINEWSライター・牧野博)その後、自分でガイドを新しいものへ交換しながら、38年間にわたって実釣で使い続けてきた。
この年代の竿としては細身かつ軽量で、現在はローライダーガイドを装着。自重は440g、元径は23mmである。これまでの釣行記にもたびたび登場している、筆者お気に入りの一本だ。
チタノスエアロ
リールはロッドより若干新しいものの、ほぼ同年代のシマノ「チタノスエアロGT8000」と「GT6000」。いずれも中古で購入したものだ。
チタノスエアロGT6000(提供:TSURINEWSライター・牧野博)チタノスエアロは、シマノの投げ専用リールとしてカーボンとセラミックスの複合材料をボディーに採用した軽量モデル。特にGT8000は、当時の遠投派キャスターから人気を集めたモデルだった。
GT6000はGT8000よりスプールストロークが短い一方、軽量かつコンパクトである。
道糸、力糸、スピードスイベルをセットした状態で実測すると、GT8000が462g、GT6000が422gだった。
リール交換で40g軽量化
普段は「櫻日本 特作 金剛 4.2m」とGT8000を組み合わせることが多い。ロッド440g+リール462gで、合計重量は902gとなる。
今回はリールをGT6000へ交換。合計862gとなり、いつもの組み合わせから40g軽量化した。
わずか40gではあるが、投げ釣りではキャストとサビキを何度も繰り返す。この差がキャスト時の感触や操作性、キスの魚信の捉えやすさ、さらには飛距離にどう影響するのかを確かめてみる。
印南港でキス釣り
最初の実釣は8月21日。午前中から日高川河口を探っていたものの、釣れるのはチャリコとクロサギのみで、キスの姿を見ることができなかった。
そこで少し休憩した後、印南港へ移動した。ここも大規模ではないものの川の河口部に位置し、水深もあるポイントだ。河口に近い港内最奥部の波止に入り、中~近投で探っていく。
ここで「軽量化したレトロタックル」の出番だ。オモリは軽めの20号。実際にキャストして最初に感じたのは、振り切りの軽さだった。
竿とリールの合計重量が40g軽くなっただけだが、操作感は明らかにライトになった。3~4色程度の中~近投なら、GT6000のスプールストロークの短さもそれほど気にならない。
小さなアタリも明確に
仕掛けが着水したら一度強めに糸を張り、ゆっくりとサビき始める。竿を固定してリールで仕掛けを動かす「リールサビキ」も非常に楽だ。
さらに、小型のキスが出す「コツッ」という小さな魚信も明瞭に感じ取ることができた。
しなやかさのあるレトロロッドと軽量なリールの組み合わせによって、この日2カ所目の釣り場ながら軽快にキス釣りを楽しめた。
印南港での実釣時間は約2時間。キス7匹をキャッチして終了した。
紀の川河口でも実釣
続いて8月30日は紀の川河口へ。少しでも暑さを避けるため、午後3時ごろから河口大橋の下流側に入った。先行していたキャスターに声をかけ、少し距離を取って河口大橋に近い場所から釣り始める。
ロッドとリールは8月21日の印南港と同じ組み合わせ。当日は右斜め方向からの横風が強かったため、オモリを23号とした。
軽くキャストして3~4色ゾーンを探っていくが、軽快な操作感は変わらない。釣れてくるキスは印南港よりさらに小さく、デキギス+αのサイズが中心。横風も強く、魚信を捉えるには条件的に厳しかったものの、「コツッ」という小さなアタリはしっかり感じ取ることができた。
さらに、デキギスであっても仕掛けに1匹掛かっているかどうかが、リーリング時の感触からよく分かる。
GT6000はハンドル1回転当たりの巻き上げ長が短い。この特徴も当日のキスの活性とうまくマッチしたのか、やや早めのペースでリーリングすると2点、3点掛けも見られた。
小型が多い中、ときおり17~20cmクラスもヒット。サイズが上がれば、その魚信はさらに鮮明だった。
午後6時30分までポイントや投点を少しずつ変えながら探り、最終的にキス18匹。デキギスが中心だったものの、18~21cmが5匹交じった。
良型もまじった(提供:TSURINEWSライター・牧野博)軽量化すると飛距離はどうなる?
釣りを終えた後、仕掛けを外し、23号のオモリだけで遠投してみた。糸を張った状態で5色+数m、6色目が少し見える程度の飛距離だった。
普段使っているGT8000との組み合わせと比較すると、感覚的には1色分、約20~25m手前にオモリが落ちる。GT8000のスプールストロークは35mm。それに対して、軽量なGT6000は28mmである。通常の遠投なら、やはりスプールストロークの長いGT8000に分があると感じた。
一方、キスが3~4色程度の中~近距離にいるなら、軽量で操作しやすいGT6000が生きてくる。魚がいる距離によってレトロリールを使い分けてみるのも、この釣りの面白さだ。
わずか40gでも操作感が変わった
今回レトロタックルを使いながら、リールを交換して竿とリールの合計重量を40g軽量化してみた。
厳密な同時比較ではないものの、普段同じロッドにGT8000を組み合わせて使っている経験と比べると、キャスト時の振り切りやすさやリールサビキの操作性、キスの魚信の捉えやすさなどで違いを感じることができた。
タックルが軽くなれば、アングラーの身体的な負担も小さくなる。キャストとサビキを何度も繰り返す投げ釣りでは、これも大きなメリットだろう。ただし、今回のレトロタックルでは軽量なGT6000を選ぶことでスプールストロークが短くなり、遠投性能ではGT8000との差を感じた。
軽さと遠投性能。この両方を新しい素材やメカニズムによって高いレベルで実現しているのが、現在の投げ専用リールなのだろう。
約40年前の道具を使ってキスを釣る。それだけでも十分楽しいが、昔のタックルを使うからこそ、現在の釣具がどれほど進歩してきたのかも実感できる。レトロタックルには、そんな楽しみ方もある。
<牧野博/TSURINEWSライター>
紀ノ川



