今年は大規模に発生しているエル・ニーニョ。今後も規模の増大が続くなら、世界の都市は洪水だらけになる可能性があります。
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カリフォルニアで海水位が30cm上昇?
北太平洋に面する北米大陸西海岸。ロサンゼルスやサンフランシスコなどの巨大都市も存在し、国際的にも重要な地域のひとつです。
この西海岸で昨今、強く懸念されている海洋災害があります。それは高潮。
高潮による洪水(提供:PhotoAC)何らかの事情で海面水位が上昇し、洪水や浸水などの被害が発生するというものなのですが、なんとカリフォルニアではこの後10月中旬にかけて、急激に30cmほど海面水位の上昇が起こる可能性があるといいます。
30cmくらい上昇したところで……と思うかもしれませんが、この程度の海面上昇でも地下水の海水化やそれによる地下設備の腐食などが発生します。慢性的な上昇が続けば、洪水による人的被害のリスクも格段に上がってしまいます。
原因はエルニーニョ
高潮は、一般的には台風などの強い低気圧によって大気圧が下がることにより発生することが多いです。しかしこの後カリフォルニアで発生が見込まれている高潮を引き起こすのは「エルニーニョ現象」です。
エルニーニョとは、東太平洋の一部地域で海水温が異常に上昇すること。クリスマスの時期に発生することが多いため「神の子」という意味の名前がつけられています。
地球規模の海水温上昇(提供:PhotoAC)エルニーニョ現象が発生すると、東太平洋では「沿岸ケルビン波」という現象が発生し、大量の海水が北米大陸西岸に沿って流れていきます。これにより、15~30cm程度の海面上昇が発生します。またそもそも海水温の上昇によって海水の体積が増え(暖かいものは冷たいものより体積が大きくなる)それとの合わせ技で沿岸域では最大36cmほども海面が上昇する可能性があるとされています。
我が国でも洪水が頻発?
沿岸ケルビン波の影響こそないものの、海水温上昇による海面水位の上昇はわが国にも影響をもたらします。今年発生しているエルニーニョ現象は過去にもほとんど例がないほどの大規模なもので、太平洋全体で水温上昇が見込まれているからです。
わが国にも東京、大阪、名古屋など沿岸部に大都市が存在しており、またそこには「海抜0m地帯」と呼ばれる海水面よりも低い地域が数多くあります。このような場所は、たかが数十cmの高潮であっても甚大な洪水被害がもたらされる可能性があります。
毎年のようにこうなる……?(提供:PhotoAC)またわが国には浜名湖や涸沼のような豊かな生態系を誇る汽水湖が数多くありますが、ここに海面上昇によって外洋から大量の海水が流れ込み塩分濃度が上昇、それによって生態系や漁業がピンチになる可能性も指摘されています。遠く米大陸沖合で発生しているはずの現象が、今や地球規模で各地に被害をもたらしうる状況になっているのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

