魚の中には小さいは親と別の名前で呼ばれているものがあります。漁師さんを悩ませるそんな幼魚たちを美味しく食べてみました。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
幼魚のうちはヘンな名前
先日、ご縁があって静岡の定置網漁を見学させていただけることになりました。
網が上がり魚が上がる段になると、数多くの細長い魚が水面に見えてきました。漁師さんはそれを見て「今日はシラガが多いらー!」と言いました。
この日の水揚げ(一部)(提供:茸本朗)白髪とはなんのことかわからなかったので、落ち着いてから聞いてみたところ「タチウオの幼魚」とのことでした。白銀で細長い外見を白髪に例えたのだそうです。
また水揚げ後の仕分け作業のときは「今日はムツ子とウリボウが多いな!」という台詞が飛び交っていました。これはそれぞれムツ、イサキの幼魚のことを指します。
ムツ子はときに「オンシラズ」と呼ばれることがありますが、これは親と子がまったく異なる場所(成魚は深海、幼魚は浅海)に棲息することが由来です。
大きくなれば価値が出るけど…
タチウオ、ムツ、イサキいずれも本当は大きくなってから獲りたい魚ではあります。成魚であればいずれも高級魚であり、キロ2、3,000円することも普通ですが、幼魚は二束三文以下であり、未利用魚となってしまうことも多いです。
どうしても幼魚が混獲されてしまう(提供:茸本朗)定置網漁は魚を根こそぎ獲ってしまうことがないため「環境に良い漁法」と言われていますが、獲れる魚をコントロールすることが難しいため、しばしば大量の未利用魚が獲れてしまいます。その中にはこれらのような「幼魚」も大量に含まれており、その処理に漁師は悩まされています。
食べると美味しいので食べて!
幼魚が獲れないような努力をしていく必要はあるとされるものの、漁業において幼魚の混獲はどうしても避けられない問題です。獲れてしまった幼魚はフィッシュミールや肥料などに活用されますが、やはり我々の食糧とするのが最も良いのではないでしょうか。
シラガの食べ方(提供:茸本朗)実際のところ、シラガは干物にすると骨まで柔らかく食べることができ、成魚よりも美味しいという人もいます。ムツ子やウリボウも小さいながら脂があり、身の柔らかさもあって寿司ネタとして珍重されます。
例え成魚より遥かに安い値しかつかずとも、しっかりお金を出して漁師さんに還元していくことが漁業を支えていくことになります。ぜひみんなで食べていけたらと思っています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

