近年、「例年なら釣れる場所で魚が釣れない」と感じることはありませんか。春は水温の上昇とともに魚の活性が上がり、冬は水温低下とともに越冬に入る――これまで釣り人は、季節ごとの水温変化を基準に釣りを組み立ててきました。しかし近年は、夏の猛暑によって海水温が例年以上に高くなり、魚だけでなくエサとなる生物にも影響が及んでいるように感じます。今回は、播磨灘や明石沖での実釣経験をもとに、高水温が釣果へ与える影響と、釣り人が意識したいポイントについて考えてみます。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター丸山明)
釣り人にとっての適水温とは
魚にも、人間と同じように活動しやすい水温があります。春は水温が上昇すると活性が高まり、冬は低水温になると動きが鈍くなるため、これまでは「水温が上がれば釣れ始める」「下がれば釣れなくなる」という考え方が一般的でした。しかし近年は、夏場の高水温によって状況が変わりつつあります。
昨年の夏から初秋にかけて、明石沖では例年釣れるはずのポイントで魚がほとんど反応しない日が続きました。潮の当たるカケアガリにもベイトフィッシュの姿が少なく、「何かが違う」と感じる場面が多くありました。
その要因の一つとして、高水温の影響でプランクトンや小魚の分布が変化し、それを追ってフィッシュイーターも移動してしまった可能性があると考えています。
フィッシュイーターがいない(提供:TSURINEWSライター丸山明)夏の高水温で何が起きるのか
海水温は気温より約2か月遅れて変化するといわれており、最も高くなるのは8月から10月頃です。遊泳力のある青物は広範囲に移動できますが、根魚や底生魚は急激な環境変化への対応が難しい魚種です。
さらに、魚のエサとなるプランクトンやゴカイ類、甲殻類などは高水温の影響を受けやすく、生息場所が変化したり、深場へ移動したりする可能性があります。エサが減れば、それを捕食する小魚も移動し、結果として大型魚も姿を消します。
魚の生活史も変わってしまう(提供:TSURINEWSライター丸山明)釣り人から見ると、「例年なら釣れる場所で釣れない」という現象につながっているのかもしれません。実際、昨年はシャローエリアでシロギスの反応が極端に悪く、ジギングポイントでもベイトが映らず、青物の反応も乏しい日が続きました。
画像説明文入力位置(提供:TSURINEWSライター丸山明)播磨灘の海水温から見えてくる
播磨灘では年々海水温が上昇する傾向にあります。2025年には、潮通しの良い明石沖でも27℃を超える日があり、播磨灘西部では30℃近い海水温を記録した海域もありました。
播磨灘の狙いものの適水温(提供:TSURINEWSライター丸山明)浅場では直射日光の影響を受けやすく、日中はさらに水温が上昇していたと考えられます。
水温実績画像(提供:TSURINEWSライター丸山明)資料:兵庫県立農林水産技術総合センター 水温観測情報
一般的に魚にはそれぞれ適水温があり、高水温への耐性にも違いがあります。青物やシロギスは比較的高水温に強い魚種ですが、ヒラメやイワシなどは水温上昇の影響を受けやすく、より深い場所へ移動することがあります。
また、プランクトンやゴカイ類など魚のエサとなる生物が減少・移動すれば、シロギスや小魚もそれを追って深場へ移動します。その結果、青物もベイトを求めて広く回遊するため、これまでの実績ポイントで反応が得られにくくなるケースも考えられます。
魚の適水温画像(提供:TSURINEWSライター丸山明)資料:魚類の一般的な適水温データを参考に作成
高水温時に意識したい3つ
高水温の時期は、これまでと同じ釣り方では結果が出ないことがあります。そこで私が意識しているのは次の3点です。
朝マヅメを狙う
魚の活性が比較的高く、水温もまだ上がり切っていない朝の時間帯は、高水温期でもチャンスがあります。青物やシロギスなどを狙うなら、朝の短時間勝負がおすすめです。
朝が狙い目(提供:TSURINEWSライター丸山明)潮通しの良いポイントを選ぶ
潮が良く通る場所は海水が入れ替わりやすく、水温も比較的安定しています。ベイトが残りやすく、フィッシュイーターも回遊してくる可能性があります。
水深のある場所を狙う
浅場は日差しの影響を受けやすいため、高水温時は魚が深場へ移動していることがあります。シロギスや砂物も、例年より水深のあるポイントを探ることで反応が得られる場合があります。
高水温時代は水温を意識した釣りへ
昨年の釣行を振り返ると、高水温によるベイト不足が釣果に大きく影響していたのではないかと感じています。今後も夏から秋にかけては、魚だけでなく海水温にも目を向けることが大切になりそうです。
各地の水産試験場などでは海水温情報を公開していますので、釣行前にチェックしておくとポイント選びの参考になります。私のホームグラウンドである兵庫県沿岸では、「兵庫県立農林水産技術総合センター 水温観測情報」を参考にしています。
これからの夏の釣りは、「魚が釣れる場所」を探すだけでなく、「魚が過ごしやすい水温の場所」を探すことも重要な時代になってきたのかもしれません。
<丸山明/TSURINEWSライター>


